「今夜、映画に行かないか? ソニー千葉が出てる奴だ」
「ソニー・・千葉?」
「カラテの達人さ」
「あたしをカンフー映画に?」
「ああ、しかも3本立てだぜ」
掴みはOKとはこの事を言うのでしょう。
「トゥルー・ロマンス」(1993年/クエンティン・タランティーノ脚本・トニー・スコット監督)
元々は「ナチュラル・ボーン・キラーズ」と同じ構想から枝分かれした本作。
作家性剥き出し丸出しのオリバー・ストーンと、必ず平均点は出しまっせ!な商業職人トニー・スコット。監督が変わるとこうもテイストが違うのかと驚きます。
監督変われど、タラの会話の面白さは健在。
ソニー千葉の3本立てとは、誤訳の女王の字幕では「ストリート・ファイター」の「1」「2」「3」。正確には、「Street Fighter」「Return Of Street Fighter」「Sister Of Street Fighter」。原題で言うと「激突!殺人拳」「殺人拳2」「女必殺拳」。
アラバマ(パトリシア・アークエット)がクラレンス(クリスチャン・スレイター)に「好きな俳優は?」と訊かれて間髪入れず「バート・レイノルズ」(←“クエンティン”はTV西部劇「ガンスモーク」でのバート・レイノルズの役名クエントにあやかったもの)。
アラバマが家で観ているのは「男たちの挽歌2」。クライマックスの大銃撃戦の予告でしょうか。
クラレンスの父(デニス・ホッパー)とシシリアン・マフィアの殺し屋(クリストファー・ウォーケン)のタイマンは(会話の内容がヤバイという事も含めて)緊張感アゲアゲ。
で、しっかり後半に「ディア・ハンター」と「地獄の黙示録」の素晴らしさに触れているという、気配り満点。あっちを立ててこっちも立たす。
ロジャー・エイヴァリーが書き足したハッピー・エンディングは賛否分かれる所ですが、私はOK。
図らずも「ナチュラル・ボーン・キラーズ」と似たようなオチになっちゃったあたりが笑えます。
ところで、ブラピ、君は何しに出てきたんだい?(ヤクでラリッてるだけなのに存在感ダントツ)
にしても、アラバマはいい女だ。
『殺した…ですって? 殺すなんて…なんて、ロマンチックなの!』
※参考:「く、喰いきれねえ。しかも闇鍋。
ナチュラル・ボーン・キラーズ」→2008年8月3日
「かっちょいいぞ、アマンダ・プラマー!
パルプ・フィクション」→2008年10月23日