日本初のスプラッター(怪談という日本土着の恐怖と一線を引く、ちょっと洋風血飛沫祭り)という肩書きは本当です。
でもなあ。お手本にしていると思われる「サスペリア」から11年、「サンゲリア」から9年、「死霊のはらわた」から5年(日本公開からは3年)・・このタイムラグは大きいぞ。
「死霊の罠 Evil Dead Trap[輸入版]」(1988年/池田敏春監督)
投稿ビデオと突撃取材の深夜TVパーソナリティ(小野みゆき。脚本が石井隆なので、ヒロインの名前は当然“名美”)に届けられたビデオテープ。
映っていたのは眼を抉られる血まみれの女(「サンゲリア」+「アンダルシアの犬」。先端恐怖症の人はご用心)。
ご丁寧な事に、撮影現場と思われる廃屋までの道のりまでワンカット撮影。ヤラセと思いつつ、番組スタッフはビデオを頼りに地図から抹消された基地跡へ。
仕掛けは派手だし、ゴアもそこそこ。小林ひとみ嬢の有効活用などサービス精神は旺盛なのですが、なんでしょう、この居心地の悪さは。
とても「赤い淫画」と同じコンビとは思えない安い雰囲気(「スウィートホーム」との類似性を指摘する人もいますが、印象は「餓鬼魂」の方が近い)。
中でも本間優二(ナイナイ矢部似)のキャラと言うか演技が・・。
誰もいないドアに向かって拳銃ぶっ放して「くそ、逃げられたか」と独り言という、あからさまな1人芝居のわざとらしさが鼻についてどうにもこうにも。
「十九歳の地図」とか「狂った果実」とかは大好きなのですが、これは流石に引きました。
ゴブリンを意識したプログレ風サウンドはいい感じ。
輸入版DVDには池田監督のコメンタリーが(特殊メイク担当した若狭新一とのコンビで)。もはや聞くこと叶わぬ監督の声と思い、期待していたのですが、これが何と英語。しかも妙にハイテンション。
「ハーイ!僕が監督の池田敏春だよ。小野みゆきの服は全部彼女の自前なんだけど、ホントいい体してるよなぁ、彼女」・・内容馬鹿過ぎないか・・。ひょっとしてこの時期、躁転していたのかも。ある意味、貴重。
★ご参考