デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

生首目線! 子連れ狼/死に風に向かう乳母車

イメージ 1

 

この世の見納め“生首目線”と言えば「吐きだめの悪魔」の右に出るものはありませんが、本作の生首目線もなかなか。

首を離れ、階段を転がり落ちるカラス神父さながらに天と地を交互に仰ぎ見る刹那の視線。

やはり、このシリーズ、只者ではありません。

 

子連れ狼/死に風に向かう乳母車」(1972年/三隅研次監督)


参勤交代の員数あわせで雇われる武士業界のエキストラ“渡り徒歩(わたりかち)”の唯一の楽しみは路上レイプ(犯った後、武家屋敷に駆け込んで知らん振り)。

4人組の渡りが茶屋で女を物色、3人がゴーアヘッド! 独り拙者はそんな事はせんとばかりに距離をとっているのは加藤剛

おっと大岡越前的善人か?と思ったら、やにわに襲われた母娘の従者斬殺。返す刀で母娘も血祭り。

で、3人組にくじを引かせて負けた奴を「お前が物取りでこやつらを殺して通りかかった我々がお前を成敗した事にすれば武士の面目が立つ」という素敵な理由で袈裟切り。

居合わせた拝一刀(若山富三郎)と軽い遺恨を作るのですが、この後、クライマックスまでほったらかしってのが惜しい。折角の壊れキャラなのに・・。

忘八のリーダー、浜木綿子パッキパキの新劇口上で登場した時は、あまりの違和感に眩暈がしましたが、これはこれでナイス・キャラ。

で、やはり彼女もその後の展開に絡まず、無駄に高い材料を並べています(複数のエピソードをひとつにしているのでブツ切れなのは致し方なしか)。

そんな不満を一気にかき消すのが伝説の大殺陣

ランボーも裸足で逃げ出す1対300(大五郎がいるので正確には2対300)のバトルロワイヤル(いや、別に数えたわけじゃないけどさ)。

弓矢を鉄板で防ぎ、鉄砲隊を乳母車マシンガンで掃討し、走り寄る一群をダイナマイトで蹴散らし、接近戦は薙刀→二刀流→胴太貫という三段活用で切り刻む。

気がつけば、辺り一面屍祭り。三途の川原だってもうちっと平和でしょう。

このシリーズのいい所は血糊をきっちり描いていること。

噴血、返り血。腹に刀を刺した加藤が死に際(にしては台詞に淀みがないが)の口上を垂れている間も、しっかり刀からはたらぁりたらりと鮮血が滴っています。

そう言えば、本作には例の“♪しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん”のインストが流れるのですが、TVシリーズとシンクロしているのでしょうか。

★ご参考:忘八と言えば・・