デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

勝新版ミクロの決死圏? 御用牙

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以前、トミーの子連れ狼で“生首目線”という素敵なカットをご紹介しましたが、勝新の発想はそんな常識レベルではありませんでした。

まさかの“ち●こ目線”。これは勝新版「ミクロの決死圏」だ。

「御用牙」(1972年/三隅研次監督)

勝新の役回りは“剃刀半蔵”の異名を持つ隠密廻り同心板見半蔵。

武器は股間の暴れん坊。風呂に入れば木箆で叩き、米びつに突き刺し、鍛錬に余念無し(劇画なら気にならないですが、実写でやられると、ちょっと引きます。原作・脚本は言わずと知れた小池一夫大先生)。

シリーズ1作目ですが、驚いた事に本作では事件が起きません(何ですとぉ?)。

同心として好きな事をしたいが為に、上司(西村晃)のキンタマ握っておこうと探りを入れたら思いのほか埃が立った・・要するにそれだけの話です。

島流しにあったはずの男が江戸にいた。逢引していた(アオカンしていた)女はパイパンだった。パイパン女を捜したら、それは西村が囲っている女(朝丘雪路)だった。

勝新は部下を使って冤罪でっち上げて朝丘拉致。“座禅ころがし”にしてバック責め。

ここで! カメラは勝新のち●こ目線となって、朝丘の内部に極底探険船ポーラーボーラ(書いていて情けなくなってきたなぁ)。

兎に角、女は拉致して串刺しにすると「やめないで」と懇願して何でもゲロる、という桃源郷のファンタジー

ここから大奥に繋がる情報を得た勝新は更なる情報収集を・・するのですが、目的が巨悪を倒すとかではなく、上司を脅すネタ探しってのが、なんと言うか、実に素敵です。

勝新に助けられる犯罪者・石橋蓮司(死体に見せるために鼻を砕かれる)の鼻濁音もいい感じ。

ラストに本編とは関係の無い“ちょっといい話”が。

※参考:「生首目線? 子連れ狼/死に風に向かう乳母車」→2011年5月13日