デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【母の秘密は触れぬまま】君は冥土様。 ♯12(最終回)【しかし2期告知無し】

キッチンにひとり立つ雪。刻まれるキャベツ。

近所の踏切の警告音。そこに雪の鼓動が被って…。

ちょっと前衛を気取った邦画にありがちな「一山超えて静かな日常で引いて〆」。


正直、ラブコメには似つかわしくないエンドカットです。

てっきりCパートで母の秘密を匂わせて終わる(2期への期待を繋ぐ)のかと思いきやそれも無し。

勿論、2期制作決定の告知も無し。

視聴率、配信再生数、円盤予約数、ネットの評価、いずれも今ひとつふたつみっつだったという事でしょうか。

個人的にも「元殺し屋(しかも業界で知らぬ者無しな)のメイド」という設定と、「殺し異界は完全にドジっ娘」というキャラと、「雪を殺って一旗揚げようと言う同業者」「年齢逆鯖読み高校生活と無駄に熱血な勝田祭」「雪の凄惨な過去と生き別れの妹」「人好と両親(とりわけ理由も分からず別れる事になった母)とのトラウマ的関係」「人好の雪への想い」といった背景と展開がものの見事にバラッバラで「で、結局なにがしたいの君ら?」とは思っておりました。

まあ、ほぼ原作通りではあったので、「微改変の魔術師」赤尾でこ氏を以てしても収拾がつかなかったという事なのでしょうか。

「君は冥土様。/第12話・君たちによる福音。」(2024年12月21日深夜テレビ朝日放送/梅津朋美演出)

1月1日は人好の誕生日。妹・季恋からその事を知らされた雪は日陰ナカと連れ立って初詣&お誕生日プレゼントの買い出し。

おみくじの結果はちょっと残念。

色々あって、雪さんは今、感情の抑制が効かなく(涙腺がバカに)なっています。


プレゼントは(人好の部屋に飾ってあったフィギュアから)カプセルトイのガチャに。しかし、狙った獲物がなかなか出ない。

己が運の無さに滂沱する雪ですが、引き当ててるの半分以上「シークレット」じゃん。


つまり、お目当てのものだけ巧みに外す「強運」の持ち主という事か。

『あの、お嬢さん。欲しいものが出て来ない時のおまじない、教えましょうか?』


嘆き悲しむ雪に声をかけてきた謎の紳士。

『まず、涙は禁物!奴らは弱者につけこむ惡の権化だ!神頼みなんて甘えは捨てろ!強気で引かなきゃ何も出ない!物欲センサーはまやかしだ!心を強く、何なら殺すくらいのつもりで引け!次出なきゃ殺す!そう強く念じながら引くんだ!』


『次出なかったら…殺す!』


本家の殺意が通じたのか、ついに希望の品ゲット。


そしてこの紳士こそ、人好の父、横谷新(よこやあらた)。

更に、新は雪の雇い主であった葉室(雪曰く「お館様」)と旧知の仲(つまり雪の前職も知っている)なのでした。

人好の自宅で再び顔を合わせた雪と新。雪のことを新にどう伝えよう、と気を揉んでいた人好は想定外の蚊帳の外。

雪(当時はシュエ)の仕事が暗殺者だと知ってよく(引き取るのを)OKしたね?という季恋ですが、

『お前たちは母さんの吸血鬼の血を受け継いだから、暗殺者ぐらいどうって事ないと思ってさ』


冗談めかして言っていますが…。

原作では、いつ人好にプレゼントを渡すか、に思考の全てを持っていかれて(プレゼントを仕込んでいる左胸の内ポケットを押さえつつ)そわそわしている雪と、思春期高校生の息子が雪と同棲している事に言及すべきかどうか悩んでいる父を見て父と雪の間に「そういう感情」があるのではないかと勘違いしてNTR感に苛まれる人好という「高度な心理戦」が展開していたのですが、アニメではバッサリ。

ここがないから、後でプレゼント渡された時の人好の(ずっと胸の辺りを気にしてそわそわしてたのって…)という納得に観ている方は納得できないことに。

ここで雪に対する想いを伝える人好ですが、人好の「(恋愛感情としての)好き」と雪の「(家族愛的な)好き」の違いに「失恋」を意識してしまうのでした。

で、冒頭引用したラストカット。雪の心音に恋愛感情の萌芽を見て取ることが出来るっちゃあできますが、何ともスッキリしない「え、終わり?」な切り上げ方でございました。

ブコメの最終回はもちっと爽やかに〆て欲しいもんだと思いますです。

おまけ


絶対Cパートにぶっこんで来るだろうと思った母の秘密。


回収される事はなさそうなので残念です。

 

 

 

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