教会を解体する。建築作業的な解体と言うよりは、手作業による破壊。
ハンマーを振り上げ、レンガを打ち砕き、死者を鞭打つように瓦礫の山に変えていく。
マルキー(オーランド・ブルーム)は解体作業員。
振り下すハンマーに力が入るのには訳がありました。
「復讐の十字架」
(2017年/ルドウィッグ&ボール・シャマシアン監督)
いや、この邦題はないだろ。
観終わってみれば、復讐と言う十字架を背負ってしまった者の苦悩、みたいな好意的汲み取り方もできなくはないですが、このタイトルから受ける第一印象はホラーかオカルトかサスペンスでしょ。
勿論、全部不正解。
無理矢理極まりない言い方をするなら、ベルイマンの「処女の泉」に近い手触り。
原題は「ROMANS」。新約聖書の「ローマ人への手紙(Epistle to the Romans)」のROMANSです。
マルキーは25年前、12歳の時に教会で神父に性的虐待を受けていました。
そしてその当事者が新しい教会の建立に合わせて再び町へ。
トラウマスイッチ・オン。
劇中何度か引用される「ローマ人への手紙」。
愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。
ローマ人への手紙 第12章19節
マルキーはどうやって過去に決着をつけるのか。
因みに教会は最終的には機械で壊しておりました(そりゃそうだ。でも尖塔部分よじ登ってハンマーで砕く所とか見たかったな…)。
マルキーの恋人役にジャネット・モンゴメリー。どこかで見た顔だと思ったら「クライモリ/デッドリターン」のヒロインでした。
左:クライモリ/デッドリターン 右:復讐の十字架
----------------------------------------------------------------------
★本日3月26日はジェームズ・カーン(1939~)の誕生日(おめでとうございます!)
ソニー兄さんはまだまだ元気。2016年の頑固爺を召し上がれ。
★本日のTV放送【21:00~日本テレビ/金曜ロードショー】