まさかここまできっちりかっちりケリをつけてくれるとは思いませんでした。
上映時間2時間35分(長くない!)。
「Q」の情報量を100としたら優に10,000は超えているのではないでしょうか。
「TVシリーズ」「旧劇場版」「新劇場版」そして「原作コミックス」、全てを飲み込んで壮大なる終止線(||)へ。
「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」
(2021年公開/庵野秀明総監督)
正直、冒頭10分の[AVAN1]が公開された時は大した期待はしておりませんでした。
あーやっぱ「Q」の続きなんだなぁという絶望感とでも言いましょうか。
それがその後公開された「冒頭12分10秒10コマ」を見て宗旨替え。
追加された2分はアバンに続くOPクレジット。
ニアサードの爪痕が残る市街を、郊外を抜けて歩き続けるアスカ、レイ、シンジ。
そこに被さる「ゴッドファーザー」と「砂の器」を足して割ったような荘厳かつ悲壮な音楽(鷺巣さん、グッジョブ)にエライ事惹かれてしまい…。
これはひょっとしてアタリなのではあるまいか、と。
結果は大当たりでした。
ニアサードを生き残っていた懐かしい面々。逞しく生きる人々。
赤ん坊のようにイチから言葉を、感情を学習していくアヤナミ(正確には綾波とは別個体なので劇中呼称は「そっくりさん」)。
スタジオジブリが全面協力したという「優しい」世界。
ずっとここに浸っていたい、という願いは勿論通じず、まるで庵野が乗り移ったかのように登場人物は各々の行いにケリをつけに。
銀河を真っ二つに割ったアナキンとルークの親子喧嘩も大概でしたが、種の在り方を賭けたゲンドウ/シンジの(ユイを間に挟んだ)親子喧嘩も迷惑千万。
終盤は庵野の「謎なんかひとつも残さん!これで終わりだ!」な答え合わせの釣瓶打ち(1回観たくらいではとても消化しきれません)。
この全方位気配り体制を「説明しすぎ」と批判的に捉える向きもあろうかと思いますが、監督の覚悟の現れという事で宜しいのではないでしょうか。
※これでようやく「『プロフェッショナル 仕事の流儀』 庵野秀明スペシャル」を観る事ができます。
ポスター各種
★折角なので貞本版の終止線に至る流れを採録しておきます。
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★本日3月25日はリチャード・フライシャー監督(1916~2006)の命日(合掌!)。
本日は脂ノリノリだった72年~73年に作られたドン詰まりな2作を。