ところ変われば品変わる。ここはフィリピン、プルパンダン。面積23㎢。ネグロスオクシデンタル州最小の町。
ここでは吸血鬼の定義が他所とはちょっと違います。
「バトル・オブ・モンスターズ」
(2012年/エリック・マッティ監督)
喧嘩別れしたソニア(ロビィ・ポー。妊娠中)を追ってマニラから彼女の実家プルパンタンにやって来たマッコイ(ディン・ドン・ダンテ←何かふざけた名前だな)。
一言で「来た」と言っても地図見たら遠い遠い。
ミンドロ島を縦断してバナイ島を横断してネグロス島へ734.7㎞。所要時間公称19時間15分(フェリー移動含む)。
乗り合いバイクタクシーに揺られて着いてみればソニアも母ちゃんもけんもほろろ。取りつく島無しチャンス無し。
僅かに同情的な父ちゃんにすがって、ソニアの誕生祝いの豚(子豚買って丸焼き)を入手するために精肉家業を営んでいる山奥の村へ。
この、妊娠→帰郷(ド田舎)→地元の肉屋→大騒ぎという図式は「吸血怪獣チュパカブラ」と同じですね。
まあ、この謎の村の村民が吸血鬼一族で、ソニアの胎児(美味らしい)を狙ってやってくるのですが、我々が持っている吸血鬼のイメージが端から端まで木っ端微塵(笑)。
まず買った豚が吸血鬼の変装(いきなり飛び道具かよ!?)
豚に化けて家に入り込み、頃合いを見て人型に復元。ソニアの腹部に喰らいつこうとしますが、でっかいフォーク(何それ、インテリアなの?)ではらわたぐるぐるパスタにされてご臨終。
兄ちゃん殺られた妹・弟・お父ちゃんが復讐だ、と襲ってきますが、何故か全員四足歩行。
いや狼男じゃないんだからさ。あと、どう考えても二足疾走した方が早いだろ。
実際、デブの兄ちゃんが途中で立ち上がって腰さすってましたし(⤴こいつ)。
家では吸血鬼対策が着々と。
ニンニクは分かるけど塩って何? 効くの、塩?(触れると火傷するらしい)
終盤には最終兵器として「アカエイの尾」が(なんじゃそりゃ!?)
アカエイの尾には尾棘(びきょく)と呼ばれるノコギリ状の毒のトゲがあるそうなのですが、これが吸血鬼に効くのか?
両手にムチのようにアカエイの尾を構えて、いざ決戦。
音楽が景気の良いフィリピン・メタルだったり、時折コミック調のイラストが挟まれたりと大筋のテンポはいい感じ。ただ、無駄なタメが多く場面によってはちっとイラつく事も(安いCGとワイヤーワークはご愛敬)。
因みに原題は「Tiktik: The Aswang Chronicles」。
Tiktikにはタガログ語スラングで「ゾンビ」という意味がある…らしい。
Aswangにもスラングで「別の姿で夜に人々を悩ますことができる凶悪な生きもの」(平たく言えば悪霊とか幽霊)という意味があるそうで。
豚に変身できて四つ足歩行する吸血鬼でゾンビで幽霊でニンニクと塩とアカエイの尾が苦手…って何なんだよお前ら!?
フィリピンのモンスターは奥が深い。
★ご参考:妊娠→帰郷→田舎の豚で大騒ぎと言えば…
★本日6月22日はチャウ・シンチー(1962~)の誕生日(おめでとうございす!)
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】