デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

サラ・コナー×コマンドー? ライリー・ノース 復讐の女神

復讐アクションに理屈はいりません。躊躇も憐憫もなく、ただ迷わず突き進んでくれればそれで良し。その意味ではブレも文句もありません。

ありませんが、もう少し端折り方ってものがあったのではあるまいか。

「ライリー・ノース 復讐の女神」(2018年/ピエール・モレル監督)

ライリー・ノース(ジェニファー・ガーナー)は、キャリアウーマンですが、娘のガールスカウトイベントのためには休みも取り、稼ぎの少ない旦那も支える「頑張っているけどいまひとつ暮らしが楽にならない」普通の奥様。

局面を打開しようとした旦那が、アホな友人にそそのかされてギャングのアガリを掠めようとしたのが運の尽き。

親子3人揃って蜂の巣。

一命をとりとめ、目撃した犯人らを告発したライリーですが、判事から弁護士から全部ギャングに買収されていて、容疑者らは無罪放免、ライリーは悪名高い郡立病院の精神科に収監という逆大岡裁き


冗談じゃないわと逃走したライリーはそのまま5年間行方不明。

5年後、ひとりの復讐者としてロサンゼルスに戻って来たライリーはお仕置き行脚を開始、というまあ「よくある」話ではあるのですが、特に元軍人とか裏社会にコネがあるとかいう背景のない一介の主婦が、追手を搔い潜って海外へ密航、銀行強盗で資金調達、格闘術を学んで、軍用兵器専門店に盗みに入って武器強奪というサラ・コナー×コマンドーな武者修行敢行ってのは無理がありゃしませんか。

しかも、その過程は全く描かれず、FBI捜査官の口から説明されるだけけ。

まあ兎に角ライリーはスーパーリベンジャーになって帰って来たって事でそこんとこヨロシク!な端折り方。

もうひとつ、本作の設定上の穴は仕返しリストの名簿が厚すぎる事。

実行犯グループは元より、弁護士、検事、判事、彼らを金で抱き込んだボスに至るまで関係者全員を始末しなければなりませんが、尺の都合で全部は無理。

かい摘んで描いて残りは刑事の口から説明。前半でライリーと関わりを持っていた(つまり前振りのある)人物も「奴も殺された」的台詞だけで終わってしまうと「えー、復讐シーンないのかよ!?」

結果、アクションの大半が、ギャングのアジト急襲による(5年前の事件に特に絡んでいるわけでもない)有象無象との乱激戦ってのはちっと描写の優先順位ってものを間違っとりゃせんかの。

5年のロスタイムを経てターゲットに辿り着く捜索過程なんか当たり前のように割愛されているので、ダイジェスト感が半端ありません。

実行犯3人は見せしめのように観覧車に吊るされているのですが、え、それあんた一人でやったの? どうやって? 目撃者いなかったの?いや絵になるのは分かるけどさ。


復讐アクションに理屈はいりません。いりませんが、もちっと腹に落ちる展開にして欲しいとは思います。

因みに原題は「PEPPERMINT」。娘が好きだった、そして生前最後に口にしたアイスクリームのフレーバー。

詩的な趣きのあるタイトルなので変にB級な邦題にせず「ペパーミント」のままで良かったんじゃないかと思います。

おまけ

ライリーの主な得物は「ジョン・ウィック」でキアヌもドカ撃ちしていたKel-Tec KSG Tacticalと、


静粛性と汎用性に重きを置いたPDW(Personal Defense Weapon/個人防衛火器。ざっくり定義すれば「突撃銃よりコンパクトで短機関銃より高火力」)コンセプトの自動小銃Q Honey Badger(ハニー・バジャー)」。


ハニー・バジャーとは、"世界一怖い物知らずの動物"として知られるラーテル(ミツアナグマ。「アフリカのサラリーマン」にも出ていた)の英名だそうです。

 

Kel-Tec KSGに関してはこちらを。

 

 

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★本日5月3日はウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)の命日。

曼荼羅畑が取り上げたシェイクスピア関連作なんか…ありました(笑)。実にそれっぽい奴が1本。

 

★本日のTV放送❶【19:00~BS12/蘇るゴールデン・サメ劇場】

★本日のTV放送❷【20:30~BS12/蘇るゴールデン・サメ劇場】