クラクションは慎重に。
自分が正しいと思っても相手を見下してはいけません。
特に相手が太ったラッセル・クロウの場合はなおさら。
「アオラレ」(2020年/デリック・ボルデ監督)
冒頭、無理矢理アメリカの病巣(不況、失業、ストレス、すぐキレて暴力、警官大量解雇で人手不足、格差が人を追い詰め…)を並べて社会派強調。
そのまま「ロボコップ」が始まってもおかしくないオープニングです。
レイチェル(カレン・ピストリアス)は、離婚調停中(夫は家よこせとか言ってる)。ただでさえ金がかかる所に母親は介護コミュニティ入りで出費増。
頼みの綱はフリーでやっている美容師の仕事ですが、寝坊&渋滞で時間に遅れて最優良顧客からクビ宣告。同乗している息子カイルも学校遅刻で居残り確定。
正に泣きっ面に蜂、下痢腹に浣腸。しかも、前のバンが信号変わっても動かない。
『あーもう何なのよ!動きなさいよ!』
渾身のクラクション連打。それでも動かないから追い越し…たのが悪夢の始まり。
マナーがなっていない、と謝罪要求するバンの運転手にキレるレイチェル。
『謝ることなんて何もしていない!』
ここで一言謝っときゃ…。
建て付けだけ見ると「激突!」ですが、相手が誰だか分からない「激突!」と違い、まごう事なきラッセル・クロウ。むしろ「フォーリング・ダウン」に近い味わい。
ただ、境遇(真面目に生きて来たのに仕事も家族も失った)は似ていても、キャラ設定がまるで違う(アバンで既に振り切ったヤバイ所を見せている)ので、マイケル・ダグラスにあった悲哀というものがどこにもありません。
では見どころはどこなのかと言うと、これはもうラッセル・クロウの破れかぶれ大暴走。
ド頭で嫁も義母もハンマーでぶち転がして放火という「やるべきことはやった」後なので、あらゆる行為に躊躇というものがありません。
目撃者がいても知った事かとばかりに余計な口出しして来た若造轢くわ、ダイナーで離婚調停弁護士ボコボコグサグサにするわ、邪魔な車は景気よく弾き飛ばすわブレーキ全壊アクセル全開。
Have a coffee?
ありゃこれじゃ「シャイニング」だわ、と思いましたが、ラッセルの膨れ上がった巨体(役作りだよね?そうだよね?)見て確信。
あー違う、これは「走る取的」(@筒井康隆)だ。
※ラッセルさん、本作の脚本読んだとき「この作品には絶対出ないぞ」と思ったそうですが、宗旨替えした理由が知りたいです。
★ご参考
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★本日6月22日は「ボウリングの日」。
1861年(文久元年)この日付の英字新聞「ザ・ナガサキ・ショッピングリスト・アンド・アドバタイザー」に、長崎出島の外国人居留地に日本初のボウリング場が開設されたと掲載されたことにちなんだものだそうで。
公益社団法人・日本ボウリング場協会が1972年(昭和47年)に制定しました。
ボウリング・シーンと言えば「ビッグリボウスキ」あたりが有名株ですが、曼荼羅畑的にはこれ。