『やりすぎだと思うか?』
『…全然』
ブラジル北東部ペルナンブーコ州の小集落バカラウ。
ライフラインである水場に通じる道路と取り出し口は水利権を争う民兵(勿論、背後には雇い主がいるんでしょうねえ…)に封鎖され、給水車が長距離移動して何とか賄っています。
長らく村の語り部であった長老が亡くなり、葬儀を済ませた翌日、ネット上の地図、衛星写真からバカラウは綺麗さっぱり消えていました。
「バカラウ 地図から消された村」(2019年/クレーベル・メンドンサ・フィーリョ&ジュリアーノ・ドルネリス監督)
UFOのような画像(タイトル写真)を観ていたので、オカルト系トンデモSFなのかと思いましたが、そういうわけではありませんでした(UFOはドローン)。
理由も動機も黒幕も一切説明されませんが、何者かがバカラウの存在そのものを村民ともども屠ってしまおうと考えているようです。
実行部隊はプロの傭兵部隊かと思いきや銃器マニアのサイコ集団。しかし、リーダーがウド・キア(笑)。見よ75歳の顔力。この人が出て来るだけで「あーこりゃただでは済まんよなぁ」という気分になります。
給水車が襲撃され、近隣の牧場一家は皆殺し。電波も遮断され孤立無援となったバカラウに襲撃者が…。
一応バカラウは観光地ですが、それらしい施設は「バカラウ歴史博物館」のみ。
度々、一見の価値ありと語られ、建物が映されますが、入り口だけで中は見せず。
襲撃者がこの建物に入って初めて展示品の数々が。
そして襲撃者(と観客)は知ります。ここは手を出してはいけない村なのだと。
途中流れるシンセが「カーペンターっぽいなぁ」と思ったら、ぽいどころじゃなくご本人の演奏でした。
更に村の学校の名前が「João Carpinteiro(ジョアン・カルピンテイロ)」。英語読みすれば「ジョン・カーペンター」です。
カーペンターという名前の学校に籠城して襲撃者迎撃。要塞学校じゃありませんか。
★使用された曲は「Night」。
あまりに説明不足なため人によってはストレスが溜まるかもしれませんが、これは抵抗の寓話。そう割り切って見るのが吉でしょう。
『これで終わったと思うなよ。これは始まりだ!』
とかウドさんが絶叫していましたが、村人の想いは多分こうでしょう。
『は?んなもんとっくに始まっとるわ』
★ご参考
★本日6月23日は漫画家・山本英夫(1968~)の誕生日(おめでとうございます!)
山本英夫原作漫画の映画化と言えば、
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】