リメイク版を観る前にオリジナルを見直しておこうかと。
「ザ・フォッグ」(1980年/ジョン・カーペンター監督)
翌年に「ニューヨーク1997」、翌々年に「物体X」があったせいか、初見時の印象は非常に薄かったのですが、再見して分かりました。単に私が子供だっただけです。
「ハロウィン」とは一味違う、しっとり落ち着いた大人の怪奇譚。
生誕100周年を祝う港町、アントニオ・ベイ。その繁栄の裏に隠された惨劇。100年前の怨みを乗せて光る霧が街を包む。
要するに八つ墓村の落ち武者たちが復讐にやってくる、みたいな感じです。
一応、エイドリアン・バーボー(灯台守兼DJ)とジェイミー・リー・カーティス(行きずりのヒッチハイカー)が話の中心におりますが、“主役的”な活躍は一切しません。
主役は100年前の、そして現在進行中の事件そのもの。
叙事的、と言えば良いのでしょうか。多数の登場人物を配していながら、視点の流れを追わずに、事件の全貌を明らかにしていくカーペンターの独特の語り口。
登場人物の余計な感情が流れ込んでこないので、「何だよ、こいつ」的ストレスに囚われる事無く、お話に集中する事ができます(冒頭にもあるように、本作は“語り聞かせ”の怪談。大事なのは展開であってキャラではないんですね)。
スモークマシーンを使ったハンドメイドな霧にも生命感が。
ゲストにジャネット・リー(演技的に娘と絡むシーンはほとんどありませんが)、ハル・ホルブルック(祖父の日記から事件の全貌を知る神父)。
ハル・ホルブルックの教会で働いているベネットはジョン・カーペンター本人でした。
亡霊のリーダーは中身・メイク共々ロブ・ボッティン。音楽は勿論、御大。
さて、四半世紀の時を経て、この作品がどう生まれ変わったのか。
★結果は…