「あなたの熱意は大好きだけど、ジョン・カーペンターの誹謗中傷は許さない!」
"I love your enthusiasm but I will just not tolerate any John Carpenter slander!"
本編を観たファンにTwitterで「史上最高のホラー監督」と称賛されたジョーダン・ピールの返答です。
ピール監督にとって、史上最高のホラー監督と言う賛辞はカーペンター(だけ)にこそ与えられるべきで彼以外を最高と称する事はカーペンターに対する非礼なのでしょう。
ここにも心にカーペンターを宿した人間がひとり。
「NOPE/ノープ」(2022年/ジョーダン・ピール監督)
ロス郊外にあるヘイウッド牧場。馬を調教して映画やテレビに貸し出していましたが、経営者オーティス・ヘイウッド・シニア(「物体X」「ゼイリブ」にも出ていたキース・デヴィッド)が空から降って来たコインの直撃を受けて死亡。
息子OJ(ダニエル・カルーヤ)とその妹エメラルドが経営を引き継いだものの、元々苦しかった経営はさらに苦しく…。
近所のウェスタン・テーマパークに馬を売って糊口を凌いでいましたが、それも限界。
という後がない状況のある夜、OJは牧場の上空を飛ぶ謎の飛行物体を目撃。
UFO? ひょっとして親父の命を奪ったコインはあの飛行物体から?
改めて空を見上げると一か所だけ雲が動いていない。あれって…。
バズり映像で一発逆転を画策したOJとエメラルドは、家電量販店の気のいい兄ちゃんエンジェル・トレスに協力してもらって牧場に2台の監視カメラを設置しますが…。
UFOだと思った円形の物体は、飛行生命体(空飛ぶ雑食エイリアン)でした。
人も馬も吸い上げて捕食。消化できないものは吐き出しペッペ(親父を殺したコインもそれ)。
喰われた人間が体内で圧殺される様子はまんまAKIRA。
終盤、円形の体を展開するように広げるのですが、その様子が「使途じゃん!」
インタビューでピール監督自身がクリーチャーの最終形態は使徒(Angel)の影響を受けていると認めているようです(エンジェル・トレスの役名はここから?)。
イメージ的に近しいのはサハクィエルか。
ラスト近く、この使徒形態のクリーチャーを引き付けるためにバイクを走らせたエメラルドが金田ばりの見事なスライディング・ストップを披露しています。
満点!
AKIRAはピール監督のフェイバリット・フィルムだそうで、実写版のオファーも受けていたようです(断って正解)。
AKIRAとエヴァとカーペンターが好き…何か急に親しみが湧いてきました(笑)。
本編のサブストーリーとして1998年のある事件(ホームコメディの公開収録中に出演者だったチンパンジーのゴーディが暴走。お父ちゃん役を殴り殺し、娘役の顔面を喰った)が断片的に挿入されるのですが、ここが本編以上に印象的でした(タイトル写真)。
★心にカーペンターを宿した者たちよ!
★遅ればせながら、ジョーダン・ピール監督の名を世界に知らしめた作品がこちら。
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