デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

決め技はサイド・スープレックス! ゼイリブ

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『そんなこったろうと思った』

見渡せば周りはエイリアンで一杯。広告だと思っていた看板には「服従せよ!」「考えるな!」「テレビを見ろ!」「消費しろ!」「眠ってろ!」「結婚して子供を産め!」・・・。

It’s a Beautiful World.

ゼイリブ(1988年/ジョン・カーペンター監督)

レビュー済みですが、しみじみと観直したので(あらすじは2008年12月8日のブログを参照してください)。

括ってしまえば“宇宙人侵略モノ”ですが、やはりここは、“絶望的状況下で反撃を試みるアウトロー賛歌”を正解としたいところです。

なんせ相手は、政治・警察機構・メディアを完全掌握した異星人。立ち向かうのは肉体労働ホームレス。

小さな勝利を納めたかに見えて事態は全く好転していないというシニカルな〆は「物体X」同様。

どうもカーペンターは「退治」とか「破壊」といったエピソードの幕を引くためのオチにはあまりこだわっていないようです。

状況それ自体と結末を曖昧にしたラストのぶった斬り方がこの監督の妙味。

「サングラスをかけろ!」「嫌だ!」で延々繰り広げられる路地裏プロレス。

ロディ・パイパーのフィニッシュ・ホールドはサイド・スープレックスでした。リングでは繋ぎ技ですが、コンクリートの上では必殺技です(良い子は真似しないように)。


ガイコツ顔のエイリアンが、テレビで最近の映画の暴力性を嘆き、ロメロを名指しで批判するシーンは究極のお前が言うな!。カーペンターらしくて微笑ましいですね。

 

★ご参考