『色々な人間が仲良く暮らせるのは天国だけなんだ!』
アメリカの正しい高校生活を描いたどん詰まり青春映画の快(怪?)作です
「ヘザース/ベロニカの熱い日」
(1989年/マイケル・レーマン監督)
ヘザーという名前の3人で構成されたお嬢様グループ「ヘザース」。ここでパシリにされているベロニカ(ウィノナ・ライダー)。そして彼女を悪事に誘う黒いコートの悪魔DJ(クリスチャン・スレイター)。
村上龍の「昭和歌謡大全集」にもミドリという名前の女性だけで構成されたミドリ会ってのが出てきますが、本作のパクリでしょうか?
今回はアメリカン・ハイスクールの階級制度のおさらいから(と言っても留学経験があるわけではないので聞きかじりですが)。
まずはJOCKS。フットボールに代表される花形スポーツマン。力が正義の脳みそ筋肉野郎で所謂いじめっ子。高校卒業したら地元の中小企業に就職してレッド・ネックとかホワイト・トラッシュと呼ばれる肉体労働者になります。プロム・ナイトが人生の頂点。
99年のコロンバイン高校乱射事件の犯人が「JOCKSは出て来い!」と叫んでいたようですが、この映画のクリスチャン・スレイターのコート姿は彼らトレンチコート・マフィアを彷彿とさせます。
次にQUEENS。チア・リーダー等JOCKSの取り巻き。大抵彼らと出来ちゃった婚して故郷から一歩も出る事無く一生を終わります。同じくプロム・ナイトが人生の頂点(ヘザースの一人はチア・リーディング部)。
後は成績優秀なBRAINS、特殊な趣味と衣装のGOTH、そしてモテないオタクGEEKS(本作でもJOCKSの虐めの的)が、アメリカ高校のヒエラルヒーです。
映画監督にはGEEKS出身者が多く(代表はティム・バートン)、当時の恨みからか彼らの映画に出て来るJOCKSは大抵アホの象徴として扱われています(いい話だ)。
ベロニカはヘザースやJOCKSにちょっとしたお灸を据えようとしますが、DJの策略で死体の山を築くハメに・・。
クリスチャン・スレイターが捉え所の無い転校生を好演。単なる変わり者から人殺し→テロリストという変貌過程を嬉々として演じています。
学校に爆弾仕掛ける辺りもコロンバイン事件を先取り。
惜しむらくは、爆発後のウィノナが完全にドリフのコント顔(縮れた髪と煤で黒くなった顔)になっている事。「そこお笑いにしてどーする!」的突っ込み所です。
ブラック・コメディのオチとしてわざとやっているのかもしれませんが、だとしたらそれはそれで問題がある演出だ・・。個人的には痛恨の一撃。
※クリスチャン・スレイターと言えば・・
「出会いは激突!殺人拳。トゥルー・ロマンス」→2010年4月1日
※ウィノナ・ライダーと言えば・・
「空耳バナナボート。ビートルジュース」→2010年4月10日