デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【先客の前にも先客】バーバリアン【ブライトムーアは行っちゃ駄目】

『こっちにいる間の滞在は?』

『民泊(Airbnb)よ』

『いいじゃない。場所は?』

ブライトムーアってとこ。知ってます?』

『冗談…よね?』

『ああ、ちょっと周りは荒れてるけど…』

『駄目よ、あそこは駄目』

『えっと、それは…』

『どこか別の場所を探しなさい』

デトロイト近郊、ブライトムーア。自動車工場の労働力確保のための移民対策として生まれ、近隣ではアパラチアから労働者を募集し栄えた町。

しかし、この50年の間に人口は減り続け、現在は…。

ここはブライトムーア、バーバリー通り476。

「バーバリアン」(2022年/ザック・クレッガー監督)

テス(ジュージナ・キャンベル)は、新しい仕事の面接のためデトロイトへ。

豪雨の深夜、Airbnb(エアビーエヌビー。世界最大手の民泊仲介ウェブサイト)で予約したレンタルハウスに着いたらキーボックスに鍵がない。

家の中には人の気配。先客!?

中にいたのはキース(ビル・スカルスガルト)。どうやら異なる予約サイトから入ってWブッキングになってしまったと言う事のようです。

悪くないのはどちらも一緒。とりあえず部屋を分けて一泊。

翌朝、昨夜は雨という事もあって周りを見る余裕もありませんでしたが、改めて周囲を見渡せば…。

THE廃墟!


見渡す限り人の気配がありません。マジでそうなのかよ?と思って、「Brightmoor neighborhood of Detroit」で画像検索をかけたら…


あーはい。マジなんですね。分かりました。

ただでさえデトロイトって「ロボット化された殉職刑事」でないと治安守れないとか、SWATの左遷場所みたいなイメージ(偏見です!)があるのに、ちょっと郊外に出ると更にこうなんかい!?

テスの面接は滞りなく終わって帰宅。ホットと一息トイレにしゃがめば紙がない。

地下室に降りて在庫見つけたまでは良かったですが、ドアが閉まって開かず。

何か道具を、と周りを物色していたら、壁の穴から伸びた謎のロープ発見。

なんじゃらほいと引っ張ってみたら、音もなく壁が動いて…。

え?何、隠し部屋? いや隠し廊下?


電灯はなさそうなので、姿見使って天井の電球の光を反射させて奥へ。最奥に小部屋。中にはベッドとバケツとビデオカメラ。

ヤバイ、ヤバイでぇ。脳内アラーム大音量。

更に廊下の突き当りの壁に小さなツマミのようなもの発見。つまんで引くと音もなく壁が…。

暗黒の深淵に続く下り階段。どんな奴でも分かります。ここが地獄の一丁目だと。


ところ変わって抜けるような青空の下、海岸線をご機嫌にかっ飛ばす映画監督兼制作者AJ(ジャスティン・ロング)。

そこに飛び込んで来た不幸の知らせ。どうもこの人、出演予定の女優に手を出したようで、本人から訴訟を起こされたらしい。

昨今のご時世、女性に訴えられたら勝てる見込みはありません。仕事なくなるわ弁護士費用払えないわで財産管理人からも見放されるわで下痢腹に浣腸。

金を作るには財産売るしか。よし、民泊用に提供している家を売ろう。ブライトムーアのバーバリー通り476の家を。

この唐突に話が(ついでにテイストも)変わる感じが凄くいいです。「マーターズ」かと思わせて「サイコ」か!? 更に過去に遡って「羊たちの沈黙」か!?

バラバラに展開していたお話がちゃんと1本に繋がるのもホラーならではのカタルシス

個人的には、覚えの無い地下空間を発見したAJが、驚くでもビビるでもなく「やった!記載総面積が増える!(高く売れる!)」とノリノリで面積図り出す所がツボでした。


果たして関係者の運命は?

最近では「X」と並ぶお薦めの1本です。

 

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