『臨!兵!闘!者!皆!陳!列!在!前!』
見るからにペテン師だった霊能者が「本物」だと分かった瞬間。
おおっとこのまま折伏エンタメにシフトか!? と少しばかり興奮してしまいました。
…ぬか喜びでした。
「禁じられた遊び」(2023年/中田秀夫監督)
Jホラーと言う「資産」の運用に失敗し、自己破産を繰り返す中田監督の最新作。
今回は「原作がある(清水カルマ)」という好条件が、「脚本が杉原憲明(貞子)」という罰ゲームに相殺されて負債が積み上がる結果となりました。
35年ローンでマイホームを手に入れ、妻・美雪(ファーストサマーウイカ)と息子・春翔(正垣湊都)と3人で幸せ一杯の伊原直人(重岡大毅)でしたが、美雪と春翔が交通事故に。
春翔は一時心肺停止になりましたが、落雷(!?)で蘇生。美雪は還らぬ人に。
母の死を受け入れられぬ春翔は(トカゲのしっぽを埋めて呪文を唱え続けるとしっぽから全身が生えて来る、という直人のでまかせを真に受けて)美幸の指を庭に埋めて毎日お祈り(エロイムエッサイム)を…。
この事故をニュースで知ったフリーのWebビデオ記者・倉沢比呂子(橋本環奈)。
彼女は以前、直人の同僚でしたが、直人に恋慕を抱いたために美幸の生霊に呪われ、退職に追い込まれておりました。
告別式で直人と再会した比呂子に再び美雪の呪いが…。
というのがお話の流れなのですが、全編に渡って「解せぬ」「分からん」「腑に落ちん」のオンパレード。
まず呪われる比呂子ですが、この人、直人とはSEXは勿論、告白もしていないのですよ。淡い恋慕を抱いただけ。でもそんな人一杯いたでしょ。
重岡大毅ですよ。ジャニーズWESTですよ。モテてたに決まってるじゃないですか。
美雪が直人をゲットするまでだけでも死体の山が築かれていなければおかしいでしょ。
結婚後だって惚れられちゃう事は多々あったでしょうに、何故、比呂子だけがターゲットに。
あと交通事故で死んだ後の怨嗟なら、まずは信号無視して横断歩道に突っ込んで来た車の運転手に矛先を向けるんじゃないでしょうか。
いきなり7年前の「すれ違い恋慕」の相手に怨念向ける?
展開とかキャラ設定も「貞子じゃん」「富江じゃん」「キャリーじゃん」で新鮮味ゼロ。
個人的致命傷は本来キーマンになるはずの息子・春翔が「僕、子役です!」オーラ全開のクソガキにしか見えなかった事。
時折、邪眼のような視線を飛ばしてくるのですが、いかにも「ダミアンみたいな顔作ってみました」なあざとさが満開で「はいはい、お上手お上手」。
唯一良かったのが、インチキ霊能力者かと思ったら本物だった大門謙信(シソンヌの長谷川忍)。
この人と弟子の黒崎(猪塚健太)をもっとお話に絡ませて(ホラーとかどうでもいいので)「折伏エンターテイメント」にしてしまえば、もっと観られるものになったのではないかと思います。
以下ネタバレです。
一番引っかかったのは「庭先ペットセメタリー」の理屈。
庭に埋めたモノ(部位)が完全蘇生する理由(と思われるもの)は大きく3つ。
❶土が特殊
❷埋めた部位(の持ち主。つまり美雪)が特殊
❸祈り続けた人が特殊
今回の回答は❸。つまりこの世ならざる力を持っていたのは春翔で、この事は春翔の祈りでトカゲがしっぽから全身蘇生した事からも明らかです。
そうなるとラストで春翔を埋めて祈り続ける直人という図式はおかしいです。
君は凡人なんだよ、直人くん。でもしっかり春翔は蘇生の気配を見せておりました。
解せねえ…。
ホラーとしては完全に「一昨日栓抜いたコーラ」で何の刺激もありませんでしたが、深夜に全裸で全身ペイントした女が鉈持って追いかけて来たらリアルに怖いとは思いました。
★霊能者が大活躍のホラーと言えば…。
★落雷で蘇生した上に特殊能力まで身に着けた少女と言えば…。
★やはり念為こちらも。
☜ランキング投票です。やっぱオーメン1作目のダミアンは最高だったなぁ、と思う人はワンポチを。
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】