低予算ホラーに求めるものは一般映画とはちょっと違います。
無駄にキャラ立ちの良い登場人物、勢いだけで誤魔化そうとするスピード感、いやそれはねーだろ、な「ありえねー」設定、そして、手作り感あふるる特殊メイク(ゴア、グロ、スプラッター)、ついでに「仕方ねーだろ金も時間もねーんだから」と開き直った脱力エンド。
ここいらへんのどれかひとつ(欲を言えばふたつ)があれば「駄目だけど心に残る」「あー惜しい、あと一歩でカルトだったのに」な作品になるのですが…。
「ホーンテッド・スクール」(2012年/ジェフリー・スコット・ランドー監督)
《伝統に敬意を(RESPECT FOR TRADITION)》を掲げる私立ホローマン高校。
生徒のクエンティンには皆に明かせない隠し事がありました。
それはこの高校の初代校長にして殺人カルト教団の教祖、アルガー・ダンフォースを祖父に持っていること。
ダンフォースは50年前に悪行が祟って焼き殺されたらしい(死体は学校の地下に埋められているらしい)。
クエンティンが持っているお爺ちゃんの遺品、五芒星の刻まれた金貨が学校の地下室の床に触れたのを引き金にお爺ちゃん復活。
お爺ちゃんは学内全てのドアを閉鎖、プロムの準備で残っている教師と生徒を順番に血祭りに。
お爺ちゃんはまあいいです。ノリノリでゲラゲラ笑いながら楽しそうに殺しを重ねていく様は殺人カルト教団の創始者に相応しい。
でも一緒に出て来た助手(?)がコレ👇じゃあなあ…。
綺麗か怖いかどっちかにしてくれよ。なんだよこのやる気のない特殊メイク。
あとクエンティン君、この日が誕生日で成人って設定なんですけど、4年制の高校だとしても18歳なんじゃね。どっかでタブったのか。
まあ成人だとしてお爺ちゃんが死んだの50年前だべ。生まれる30年前に死んどるやん。
生まれる30年前に死んだ人の遺品を誰がクエンティンに渡したのかと言えばお父ちゃんしかいないけど、爺ちゃん死んですぐお父ちゃん名前変えたんだろ。何で魔界の扉開くような曰く付きの遺品を自分の息子に渡したかな。
ついでにお父ちゃんって爺ちゃんいくつの時の子供だよ。
と言う年齢の辻褄が気になってお話に集中できませんでした。
で、本作Syfyのテレビ用ホラーなので、次々人が死んでいくのに肝心の瞬間がひとつも描かれていません。
圧死、焼死、爆死などバラエティに富んだ死に方・殺し方を披露しているのに全部直前でフェイドアウト、カットアウト。
安いにも程があるCG顔面ばーん!もカメラがパンして影だけの処理。
まあ状況的に死んだのは分かりますが、普通ここはスタッフが無駄にやる気を見せるシーンでしょ。
ダンフォースと因縁浅からぬ校内清掃員としてダニー・トレホが特別出演しているのですが、こちらも景気よくカラ回り気味で。
やはりご家族揃って楽しめるホラーには無理があります。
因みにジェフリー・スコット・ランドー監督は「ロボシャークVSネイビーシールズ」とか「人喰い怪物ゴブリン」とかを撮った人。
残念無双なフィルモグラフィーがまたひとつ増えました。
おまけ
本作の原題は「HAUNTED HIGH」「GHOSTQUAKE」だったりするのですが、ジャケのデザインは何故かどれもいい感じ(完全にダニー・トレホが主役になっていますが…)。
国内版ジャケもなかなかにお洒落。明らかに力の入れどころを間違っています(笑)。
★ご参考
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★本日のTV放送【19:00~TOKYO MX/スクリーンMX1】