私はアニー。夢遊病よ。夫と息子と娘がいて職業はミニチュア模型アーチスト。
母は解離性同一障害(昔で言う多重人格)で認知症。迷惑かけられっぱなしだったけど、つい先日ようやく他界してくれたの。
父は妄想性鬱病で食事を摂る事が出来ず、私が赤ん坊の頃に餓死。
兄は統合失調症(昔で言う精神分裂)で16歳の時に母の寝室で首を吊ったわ。遺書には「母さんが僕の中に何者かを招き入れた」と…。
これだけで十分役満ですが、実は母にはとんでもない裏の顔があり、死して尚家族にありがたくない遺産を残していたとしたら…。
勘弁股火鉢です。
「ヘレディタリー/継承」
(2018年/アリ・アスター監督)
予備知識は「ホラーである」という事だけ。
サイコかオカルトかスプラッターか、ゾンビかゴーストかスーパーナチュラルか。
答えを言ってしまうと、基本はファミリー、味付けにオカルト。
「普通の人々」+「ローズマリーの赤ちゃん」でした。
何かと厄ネタだった母が死んで葬儀の日。集まったのは初めて見る顔ばかり。
お祖母ちゃんっ子だった娘のチャーリー(ナッツアレルギーあり。食べると喉が内側から腫れて息ができなくなる。←嫌ぁな前振り)は、ただでさえ気難しかった性格が一層閉鎖的になり、学校の窓に激突して死んだ鳩の死体から首を切り取って持って帰るくらい個性溢るる陰キャラに。
学校で友達もいないチャーリーを遠くから見つめる謎の女性。この引きの構図って…。
このチャーリーが兄ピーターの不注意が遠因で死亡(発作×カーアクシデント)。そうでなくとも詰み放題詰んでいた家族は一気にギスギスバラバラ。無視と憎悪、言葉にならない非難と糾弾。
取り憑かれたように事故現場の再現ジオラマを作るアニー。
息子と孫を同時に失ったと言うジョーンに降霊術を教わったアニーは…。
幻覚を見るようになったアニーの表情はダニーに似ていますね。
壊れていく妻アニー役のトニ・コレット(製作総指揮兼任)、どこかで見た事あるような…と思ったら「ホテル・スプレンディッド」の副料理長キャスか(あーあと「めぐりあう時間たち」でジュリアン・ムーアとキスしてた巨乳の友達とかも演ってましたね)。
左から「ヘレディタリー」「ホテル・スプレンディッド」「めぐりあう時間たち」
夫スティーブ役はガブリエル・バーン(彼も製作総指揮兼任)。99年の「エンド・オブ・デイズ」ではサタンを、同年の「スティグマータ/聖痕」では神父を演じておりました。
因みにガブリエルさん、元々は宣教師志望だったそうですが、喫煙が原因で神学校を放校になったという素敵な出自を持っています。
左から「ヘレディタリー」「エンド・オブ・デイズ」「スティグマータ」
盛り上げた割りにオチが弱い気がいたしますが、スピリチュアル系ホラーとして十分楽しめました(ネタとして新しいかと言われると「悪魔のワルツ」「スケルトン・キー」「ゲット・アウト」の系譜かなぁという気はいたしますが)。
アニーが作っているミニチュア模型(超リアルなドールハウスやジオラマ。個展を開ける腕はある)がいい感じのアクセント。
寝室を覗く母のジオラマ…って作るなよ、そんなもん。
「人を操る癖があるので息子には接近禁止ルールを課したが娘を差し出したら飛びついた」とアニーが語ったシーンを基にしたと思われるジオラマ。何かもう嫌々です。
おまけ
寝室に書かれた「ザザス」の文字と母の遺品のひとつ「召喚の書」。
お~い、ゆりね、探している本ここにあったぞ~。
★ご参考
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★本日のTV放送❶【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】
★本日のTV放送❷【18:54~BSテレ東/シネマスペシャル】
テレ東は本作ヘヴィロテだなぁ…。