デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

悪魔vs警備員(ハンデ無し)。 エンド・オブ・デイズ

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「神がお前から奪ったものを返してやろう」

公開当初から駄目駄目の烙印を押されていたので、長いこと躊躇しておりましたが、ようやく鑑賞。

確かに残念賞つるべ打ちではありますが、それなりに見所満載(?)と言えないこともないと断言するに吝かではない佳作かもしれません(←すっげー弱気)。


ミレニアム目前にサタンが復活。20年前に生まれた運命の女とまぐわって悪魔の子供を生もうという千年に一度の幸せ家族計画。

バチカンの中では女を“殺せ”“守れ”で派閥割れ。

ひょんなん事からこの全人類的大抗争に巻き込まれた私設警備員(元刑事)がサタンを向こうに回して大暴れ…ってなお話なのですが…。

脚本上の大穴は、この元刑事(シュワ)に女を守る動機が希薄な事。

特に関係者でもなければ信者でもない。強いて言えば女房・子供を守れなかった悔恨と贖罪に駆り立てられて、という事なのでしょうが、であれば警備の同僚が付き合うのは変。

一番の残念は、折角オカルト映画の体裁を保っていたのに途中から即物的なアクション活劇に移行してしまった事。

後半は特に雰囲気系で押して欲しかったなあ。

いい機会なので、この手のテーマで良く言われる「何故、悪魔はちまちまと回りくどい事ばかりするのか」について。

神にとっても悪魔にとっても、この世は一種のゲーム盤みたいなもので、サイコロ振りつつ、相手の出方を愉しんでいるのではないかと思います。

どちらかが勝ってしまったら、遊びの時間が終わってしまいます。指先絡め合う男女の様な睦み事を永遠に続けるためにも、勝負がつかないようにつかないように配慮しつつ、人の命をチップに変えて愉しんでいるのでしょう。

シュワが家族を亡くして酒に溺れ、自殺願望があるというのは、リーサル・ウェポン丸パクリな設定ではありますが、無神論者的背景として程よく機能しています。

「サタンがいるなら、お前らの神様は何をしているんだ?」
とか
「銃と信仰なら俺は銃を選ぶ」なんて台詞は罰当たりで“いい感じ”。

バチカンがカルトな秘密結社にしか見えない所も悪意満点。

選ばれた女役は、女子高時代に降霊術で悪魔を呼び出していた(ザ・クラフト)ロビン・タネイ、サタン役は同じ年にバチカンから派遣された神父を演じる(スティグマータ/聖痕)という二枚舌ガブリエル・バーン

ハイアムズ自身による縦横無尽なカメラワークは相変わらず光っています。ショボイ脚本をテンポ良く魅せるハイアムズ・マジックです。