デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

白昼、公用ヘリで大脱走。 塀の中の懲りない面々

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轟音と共に刑務所中庭に降り立つヘリコプター。

乗り込むはこの日脱走すると公言していた城山勉(柳葉敏郎。※しまった!写真のキャプション誤字ってる)。

“インターナショナル”をがなりながら天空に消える城山。呆気にとられる懲役囚たち。

刑務所内の日常を描いたプリズナー・グラフィティの中に突如挟まれたスペクタクル大脱走。観客の中にも呆気にとられた人、多かったのでは。

塀の中の懲りない面々

(1987年/森崎東監督)


安部譲二の刑務所体験記の映画化。安部を演じるのは藤竜也(←自分を美化し過ぎてねぇかい譲二さん)。

ギバちゃん演じる城山は脱走の為に日々鍛錬を怠らない変わり者。

劇中、全く説明がありませんが、彼のモデルは城崎勉

共産主義者同盟赤軍派に属しM作戦(金融機関襲撃によって革命資金を調達する大作戦)に関与したかどで懲役10年in府中刑務所(ここで安部譲二と接近遭遇)。

映画では「僕の同志がアラビアの官僚が乗った船を押さえているんだ」と言っていますが、これのモデルはダッカ事件ダッカ日航機ハイジャック事件)。

1977年9月28日、パリ発東京行きの日本航空機427便を日本赤軍グループがハイジャックして、バングラディッシュダッカ国際空港に強行着陸。

要求は、乗客の身代金600万ドルと日本で拘留・服役中の囚人9名の釈放ならびに日本赤軍への参加。この9名の中に城崎勉の名前がありました。

ここのエピだけ妙に浮いている感じがしますが、出来事としては事実のようです(ヘリが迎えに来たってのは映画的演出かもしれませんが)。

本作と「刑務所の中」(2002年/崔洋一監督)は、どちらも入所者の手記を原作にしていますが、印象がまるで異なります。

ヤクザとモデルガン・マニアの漫画家という資質の違いでしょうか。

更に混乱したい人は、「暴動島根刑務所」「女囚703さそり」あたりを続けてご覧ください。