轟音と共に刑務所中庭に降り立つヘリコプター。
乗り込むはこの日脱走すると公言していた城山勉(柳葉敏郎。※しまった!写真のキャプション誤字ってる)。
“インターナショナル”をがなりながら天空に消える城山。呆気にとられる懲役囚たち。
刑務所内の日常を描いたプリズナー・グラフィティの中に突如挟まれたスペクタクル大脱走。観客の中にも呆気にとられた人、多かったのでは。
(1987年/森崎東監督)
安部譲二の刑務所体験記の映画化。安部を演じるのは藤竜也(←自分を美化し過ぎてねぇかい譲二さん)。
ギバちゃん演じる城山は“脱走の為に”日々鍛錬を怠らない変わり者。
劇中、全く説明がありませんが、彼のモデルは城崎勉。
共産主義者同盟赤軍派に属しM作戦(金融機関襲撃によって革命資金を調達する大作戦)に関与したかどで懲役10年in府中刑務所(ここで安部譲二と接近遭遇)。
映画では「僕の同志がアラビアの官僚が乗った船を押さえているんだ」と言っていますが、これのモデルはダッカ事件(ダッカ日航機ハイジャック事件)。
1977年9月28日、パリ発東京行きの日本航空機427便を日本赤軍グループがハイジャックして、バングラディッシュのダッカ国際空港に強行着陸。
要求は、乗客の身代金600万ドルと日本で拘留・服役中の囚人9名の釈放ならびに日本赤軍への参加。この9名の中に城崎勉の名前がありました。
ここのエピだけ妙に浮いている感じがしますが、出来事としては事実のようです(ヘリが迎えに来たってのは映画的演出かもしれませんが)。
本作と「刑務所の中」(2002年/崔洋一監督)は、どちらも入所者の手記を原作にしていますが、印象がまるで異なります。
ヤクザとモデルガン・マニアの漫画家という資質の違いでしょうか。
更に混乱したい人は、「暴動島根刑務所」「女囚703さそり」あたりを続けてご覧ください。