蝋人形?と疑うくらいブルース・ウィリスが動かない。
口を開いたと思ったら
Cone inside.
Relax.
Take a seat.
Complicated.
I’ll be right back.
全部一言かよ!?
アクションもスローに歩いてまったりと撃つ(そういう指示しか出せないし受け付けなかったのでは?)。
これがターミネーターだったら無敵感満開ですが、人間、しかも老人、更に言えば諸事情抱えたブルース・ウィリスとなるともう向ける視線が変わってきます。
失語症による引退発表前年。
台詞も予算も最低限。
「ドント・サレンダー 進撃の要塞」(2021年/ジェームズ・カレン・ブレザック監督)
叩き売りのような安い邦題です(原題はFORTRESS【要塞】)。
母親の病死後、行方知れずとなった父ロバート(ブルース・ウィリス。以下ブルースで統一)を探して、金持ち老人保養施設に辿り着いた息子ポール(ジェシー・メカトーフ)。
久方ぶりの邂逅は油切れギクシャク。何とか距離が埋まろうとした矢先、施設内にサイレン。
『何事?』
『緊急警報だ』
続けて銃声。振り返れば父がサイレンサー片手に臨戦態勢。
『ここは一体何の施設?』
ここは訳あって一般社会生活が営めなくなった工作員の確保施設でした。
ブルースはCIAに30年勤続してヤバイ橋を渡り歩いてきた特殊工作員。
恨みを持つ輩は多い。その中の最有力候補が傭兵率いて殴り込み。
設定自体は悪くないのですが、脚本がザルすぎ。
暗号通貨とか今っぽいものを取り入れてはいるのですが、全く有効機能していません。
加えて施設の作りが地上も地下(タイトルにもなっているFORTRESS)も安普請の極み。
要塞の入口にそれ👇はないだろ!あと入ったらちゃんと閉めろ!
認証無しナンバーロックだけかよ!そこらのオフィス以下じゃん。
で、その戦火の中を特殊効果も使わずにハイパースローで進むブルース・ウィリス(大魔神だ!)。
これもある意味「キャラ立ち」ではあるのでしょうが、正しくキャラ立ちしていたのは、単独側面支援に徹した階級不明のソルジャーさんでした。
『出番は逃しません!新婚旅行以来のイベントだ!』
よほど退屈していたのでしょう。ハイテンションでバカスカ撃ちまくって(刺しまくって)侵入者を駆逐しておりました。
実は本作、続編同時撮影の前半部(後編は「ドント・サレンダー スナイパーズ・アイ」)だったのですが、引きがド下手糞で台無し極み。
話を繋げたいのは分かりますが、あのオチでは「あ~あ」という感想しか出てきません。
後編は観ないと思います、多分。
ブルースさん、この年本作含めて7本の作品に出ています。で、翌2022年(3月30日に引退宣言)は12本!
何か「喋れなくなる前の滑り込み契約」みたいでちょっと嫌な感じがするのは私だけでしょうか?
因みに本作、製作者4名+製作総指揮24名(!)という驚異の布陣(総指揮が24人て…)。ブルース救済基金なのか単なる有象無象(賞味期限にいっちょ噛みな金の亡者)なのか。
残り人生、静かにお過ごしください。
★出来はさておき、元気なブルースをどうぞ。
☜ランキング投票です。ダイハードの新作が観たかった方はワンポチを。