坐骨神経をざっくり抉って、傷口にブレーキ液(腐食剤)をざぁぶざぶ。
『医大で習ったよ。人を死なせずに与えられる最大の苦痛だとな』
(the most pain a human can endure before going into cardiac arrest)
その苦痛を発見したのは731部隊です。
「デス・ウィッシュ」(2018年/イーライ・ロス監督)
ブロンソンの出世作「狼よさらば」のリメイク。
主役はブルース・ウィリス。髪も髭もありませんがポール・カージーです。
職業は建築技師ではなく外科医。これはなかなかに上手い設定変更。
薬品、古着パーカー、更には救急患者が所持していた(弾道検査をされても足がつかない)拳銃など物資の調達が容易になりました(すげーご都合主義ですが)。
お話の基本骨子はオリジナルとほぼ一緒。
暴漢に自宅を襲撃されて奥さん死亡、娘昏睡。
違うのはオリジナルが復讐よりも「街のダニを一掃しちゃる!」な自警(ビジランテ)活動に軸足を置いていたのに対し、こちらは自警+直接的復讐と二股かけている事。
まあ「ロサンゼルス」との併せ技って感じでしょうか。
ブロンソン版では、最初の殺人でビビってゲロってなんて描写で素人が禁断の世界に足を踏み入れた事を表現しておりましたが、ブルース版は慣れないオートマチック拳銃のブローバックの反動で手を切ってしまう事で素人感を演出しておりました。
でもねえ、ブルース・ウィリスですよ。
拳銃持ったらその瞬間、ジョン・マクレーンですよ(笑)。
実際、そこそこ距離あってもいい感じに外さないし。
この距離で怪我した左手1本でグロック17当てるって割と凄いよ。
指紋やら薬剤やら証拠のデパート作っておきながら、特に司法取引という段取りも踏まずに放免されるのは何だかなぁですが、変にオリジナルなバッドエンド用意されるよりはマシでしょう。
最後はお約束の指鉄砲。
ブロンソンには「こいつ、また殺る気だ…」な不穏感がありましたが、ブルースにそういうキャラ設定はないので、やたら爽やかなエンディングになってしまいました。
オリジナルと比べなければ十分楽しめる娯楽作。
ただ、AC/DCは(イーライの趣味だと思いますが)、合っていないと思います。
★ご参考