デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【煽動と挑発】ソフト/クワイエット【リアルタイムヘイトクライム】

『多様性とか受容とか、暗号みたいな言葉にはもううんざり!役所や会社の書類にも書かれている。何ならレシートにも!』

『私にも言わせて。メキシコ人や黒人は気軽に差別を口にするわ。白人は酷い、白人はクズ、とまで言ったって誰にも咎められない。なのに白人が一言でも批判したらその途端、“人種差別だ!”

手を取り合って「多文化主義」と戦うため集まったアーリア人団結を目指す娘たち」

その矛先が向けられたのは…。

「ソフト/クワイエット」(2022年/ベス・デ・アウラージョ監督)

幼稚園の教師エミリー(ステファニー・エステス)が開催した白人至上主義者の集会。


集まったのは、念願の管理職昇進をプエルトルコ人に奪われたマージョリー、食利用品店経営のキムとそこの従業員で元受刑者のレスリーら(生まれた時からK.K.K.メンバーのジェシカとかも)。

エミリーの持参したサプライズ・パイにはでっかい鉤十字が。


会場に使用したのは教会の談話室でしたが、エミリーらの話の内容を耳にしてしまった神父が退去命令。

『今すぐ帰れば通報はしない』

用事のある数名を除いてエミリーの家に移動することに。途中立ち寄ったキムの食料品店でアジア人の姉妹と遭遇。

間の悪い事に、姉妹の姉アンはエミリーの元同級生で、エミリーの兄ジェフをレイプ犯として告発して刑務所送りにした張本人(エミリー的には誘ったのはアンで兄は無罪)。

ただでさえ民族間の対立がある所に、身内のいざこざが絡んで一触即発。

何とか無事に(どちらにも怪我人を出さずに)別れた両者でしたが、よせばいいのに姉妹の妹リリーがいらん捨て台詞吐いたもんだから、それを切っ掛けにレイプ告発の件がメンバーの知る所になって全員瞬間核融合炉。


迎えに来たエミリーの夫クレイグが馬鹿な事はやめろとなだめますが、アドレナリンとかドーパミンとかダバダバ分泌している女たちは聞く耳持たず。

特に元受刑者レスリー煽りスキルがカンストレベル。煽動、挑発、アジテーション

奴らに分からせてやる! 勢いでアンの自宅(まだ帰宅前で不在)に乗り込むとパスポート盗んで大騒ぎ。

何とか話が大事になるまえに撤収させようとするクレイグですが、不幸な偶然が次々重なり、シャレでも冗談でも済まされない状況に。


本作、全てがワンカットに収まるよう撮影(編集)されています。ワンカットの長所はリアルタイムである事、短所は時間の経過を端折れない事。

リアルタイムヘイトクライムを目撃できます。

★全編ワンカットと言えば…。

★こんなはずじゃなかったのに、の代表作は…。

 

 

 

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