500人に及ぶ超兇悪犯罪者をコールドスリープ状態で収監しているスペース・プリズンMS-1。
ここに大統領の娘エミリー(マギー・グレイス)が視察来訪。インタビュー用に犯罪者1名を覚醒させたら一気に司令室制圧されて、全収監者のコールドスリープ解除。
上司射殺の冤罪でMS-1に送られる予定だったCIAエージェント、スノー(ガイ・ピアース)にエミリー奪回指令。
「嫌なこった」と一旦は拒否したもののMS-1に自身の無罪を証明できる男がいると分かって渋々承諾。
という「ニューヨーク1997」(舞台設定)+「ダイハード」(キャラ設定)in宇宙なSFアクション。
「ロックアウト」(2012年/スティーヴン・セイント・レジャー&ジェームズ・マザー監督)
アニメの動きを実写にトレスしたようなテンポの良さは実に良い…のですが、脚本が超テキトー(書いたのは監督+リュック・ベッソン)。
スノーが地上で追っていた事件、その黒幕、エミリー救出を呑んでまで探しに行った証拠資料、その全てが藪の中。
何かマクガフィンって手抜きの脚本を正当化する便利なお題目になっている気がします。罪だぜヒッチコック。
『まあ、んな事ぁどうでもいいからアクションを楽しんでくれよ』というのが作り手の言い分なのかもしれませんが、『だったら別にそのシーン無くてもいいじゃん』というのが観る側の感想ではあります。
髪を切って染めたエミリーがシガニーっぽく見えるのは気のせいか。
クライマックスに軌道を外れて東海岸に落下するMS-1を“総攻撃”するシーンがあるのですが、何でわざわざスターウォーズごっこ(戦闘機で攻撃、MS-1は機関砲で反撃)する必要がある? 地上からロックオンしてミサイル打ち込めば終りだろう。
エピローグとしてエミリーがスノーの冤罪を晴らす単独捜査をするのですが、待て待て、君はこの事件について何も知らんはずだろう。何故、スノーと観客だけが知っている冒頭の映像が君の記憶みたいな表現になっているんだ?
これじゃパクられた側も納得いかないですよね。
因みに御大は2015年に『これはワシの映画(ニューヨーク1997)のパクリだ』と訴えを起こし、翌2016年にパリの控訴院がこれを認め45万ユーロ(約5100万円)の支払いをリュック・ベッソン側に命じたそうです。
ラストでスノーのファーストネームがマリオンであることが判明。本人は『親父がジョン・ウェインのファンでね』と言っていましたが、いやいや、これはスタローンの「コブラ」リスペクトでしょう。