そ、そこまで試すかマイゴッド!
「最後の誘惑」(1988年/マーティン・スコセッシ監督)
ナザレのイエスの生涯をテーマに163分・・・大味な歴史大作かと思いきや、やられました。
イスカリオテのユダがイエス暗殺の密命を受けた殺し屋だという設定以外、比較的聖書の流れ通り、大きな逸脱も破綻もなく話が進み、40分以上を残してゴルゴダの丘へ。
おっとこの後どうするつもりだ?・・ぐわあ、そう来るのか、正に最後の誘惑。
イエスの半生を記した福音書は4つ(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)。どれも処刑のシーンがありますが、何故か死に際のセリフが異なります。
「全て終わった」という満足げなものもあれば「俺を見捨てるのか!?」という呪詛の言葉も。スコセッシはこの矛盾を解決する離れ業を見せます。
イエスにウィリアム・デフォー、ユダにハーヴェイ・カイテル、そしてピラト総督にデビッド・ボウイ。脚本は「タクシー・ドライバー」のポール・シュレーダーで音楽はジェネシスのピーター・ガブリエル。凄い面子だ。
順序逆ですが、この後スコセッシの商業デビュー作「明日に処刑を」を観ると感慨深いものがあります。