コマをはみ出し、ページからも飛び出す勢いで鳴き叫ぶ烏。
押し返すように犇く死体の山。埋め尽くす嗚咽と悲鳴と呻き声。
人を殺し、死肉を喰らう狂女。その腹にはひとつの命。
“生むつもりだろうか?”
自ら物語を紡いでいながら、登場人物の行動に疑問を投げかける作者。作り手であると同時に語り部。描かせているのは言霊か。
その創作の衝動はどこから?
「アシュラ」
(1970-71年/少年マガジン連載/ジョージ秋山著)
干ばつと飢饉に喘ぐ京の都。貴族の栄華の傍で互いを喰い合わなければ生きていけない極貧の民。
狂女の腹から生まれるも、飢えのため母に焼き殺されかける幼子アシュラ。
『生まれてこないほうがよかったのに…』
悲惨と陰惨と凄惨をハードシェイクした“妊婦は絶対読んじゃ駄目”な問題作が映画化されるそうです。
「アシュラ」(2012年/さとうけいいち監督)
実写ではなくアニメ。声の出演は、野沢雅子、北大路欣也、林原めぐみ、玄田哲章、島田敏、山像かおり、山口勝平、水島裕ほか。公開は秋。
出口無し救い無し。夢も希望も明日も無い暗黒メビウスな地獄の神話。
どこまで腹を括って取り組んでいるのか…。ただ綺麗なだけの絵空事にしたらただではおかんぞ。
現時点での恩恵は幻冬社から原作の文庫(上下巻)が再発されたこと(即買い)。
もし、これが成功したら、次は是非「ザ・ムーン」を(「ドブゲロサマ」でもいい)…。