デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

元祖I’ll Be Back! エクスタミネーター

イメージ 1

開巻いきなり爆発・火柱。そんなに飛ぶ訳ゃねぇだろ!なハイジャンプ・ソルジャー(写真上)。

OK過ぎる掴みに続いて、ベトコンが米兵捕虜斬首。ただ斬り落とすだけじゃない。首の皮一枚残して苦悶の表情を見せる匠の技。スタン・ウィンストン入魂の斬首模型です。

そして、爆炎立ち上る中、兵士を回収して飛び立つヘリコプター(写真2段目)。

戦闘シーンの特殊効果は2年後ビッグ・モローをあの世に送るポール・スチュアート

予算の2割を投入したベトナム戦争シーンはインパクト絶大。映像はそのままニューヨークの夜景空撮へ。見事すぎるオープニングです。

 

「エクスタミネーター」

(1980年/ジェームズ・グリッケンハウス監督)


街のチンピラに戦友を半身不随にされた男が害虫駆除者(エクスタミネーター)となって悪党を処刑していく、という流れから「狼よさらば」のエピゴーネンとして語られる事が多いですが、ちっと違うような気がします(監督も否定している)。

ベトナム帰り”“ニューヨーク・ロケ”という文脈で言えば、「タクシー・ドライバー」「ローリング・サンダー」「クルージング」と同じ箱に入る1本でしょう。

出来に関してはあまり芳しい評価を聞かない本作ですが、なかなかどうして。

まず編集が素晴らしい。

戦友が暴行を受けたシーンの後は、主人公ジョン(ロバート・ギンティ。写真下)が戦友の奥さんに事の詳細を告げるシーンにひとっ飛び。

戦友が発見され、病院に運ばれ、処置を受け、その事を家族より先にジョンが知り…という一連の流れをまるっと割愛。警官の描写も時間経過を示すカットも無し。

で、驚いた事にこの後は、犯行グループの一人に対する尋問シーンにワープ。

犯人を特定し、捜し、ひとりを見つけ、拉致し、という段取りを華麗に無視。この時、ジョンが火炎放射器を持っているのですが、入手経路は知ぃらない。

「そんなトコ撮ったってしょうがないし、無駄に尺が長くなるだけ」という潔いにも程がある割り切りで、話をサクサク進めていきます。

ジョンを追う刑事も実はベトナム帰りで、ジョンと同じ武器弾薬入りアタッシュケースを持っている、という設定もナイス。

タイトルがよく似ている作品がありますが、製作はこっちが先。しかも、ジョンのキメ台詞は“I’ll Be Back”。冒頭に戦闘シーンという構成も含めて“ガメやがったな、キャメロン”な思いひとしおです(特撮担当も同じスタン・ウィンストンだし)。

※参考:「ローリング・サンダー」→2009年12月10日
    「腐女子よ観ろ!そして引け! クルージング」
     →2011年2月23日