デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

帰還兵に敬意を。 ニューヨーク・コマンドー/セントラルパーク市街戦

イメージ 1

The Park is MINE!』(公園は俺のものだ!)

公園と言ってもそこいらの公園とは規模が違います。

セントラルパーク。マンハッタンの都市公園。南北4km、東西0.8km、面積比にして日比谷公園の約20倍。


イメージ 2

ここをたったひとりで占拠した男。彼の名はミッチ。ベトナム帰還兵です。

「ニューヨーク・コマンドー/セントラルパーク市街戦」1985年/スティーブン・ヒリヤード・スターン監督)

ベトナムから帰還したものの周囲に溶け込めず、職も家庭も失った男ミッチ(トミー・リー・ジョーンズ)。養育費について責め立てる事しかしない妻。

『もう少し俺に敬意を払ってくれればこんなことにはならなかった。負け犬呼ばわりはもう御免だ!』

ミッチの元に届いた1通の手紙。それはガン宣告され病院の屋上から身を投げた戦友の遺書。封筒の中には手紙と共に貸倉庫のキーが。


イメージ 3

倉庫には山のような武器弾薬、セントラルパークの地図と公園占拠の計画書。既に爆薬やトラップの数々は友の手でパーク中に設置されていました。あとは実行あるのみ。


イメージ 4

全てを託されたミッチは警察署を威嚇爆破。退役軍人の日(Veteran's Day1111日)の夜9時までパークを占拠すると宣言。

迷彩服に着替え、AK47を手にしたミッチの活き活きとした表情(これ「ローリング・サンダー」の時と一緒じゃん)。


イメージ 5

AMラジオの電波を通じて市民に語り掛けるミッチ。

『考えてほしい。自分が他人をどう扱い、どう扱われてきたかを』

要求などない。ただ、聞く耳を持ってもらうための占拠。かと言って「はいそうですか」と引き下がる訳にはいかないのが市当局。

警察の介入は実力でこれを排除。結果、心ならずもマンハッタンにベトナムをデリバリーする事に。


イメージ 6

テンポが小気味良いのに加え、ほぼ全編に渡ってタンジェリン・ドリームの音楽が鳴りっぱなし。気分アゲアゲ。

本作一番の見所は公園を取り囲む野次馬にテレビ局がインタビューするところ。


イメージ 7

カメラの前で意見を述べる市民の顔、顔、顔。得意満面でしたり顔で我こそは大衆の代弁者と言わんばかりの勝ち誇った目線。正に愚民。監督の悪意満開な名シーンでした。

「ソルジャー・ボーイ」1972)、「タクシードライバー」(1976)、「ローリング・サンダー」(1977)、「ドッグ・ソルジャー」(1978)、そして「ランボー」(1982)に連なるベトナム帰還兵ものの秀作です。

そう言えばトミー・リーは「ハンテッド」でトラウトマン大佐的鬼教官も演っていましたね。もう、こういう役はやらないのでしょうか。日本でまったり缶コーヒー飲んでる場合じゃないぞ。


イメージ 8←ランキング投票です。よろしければワンポチを。