「やあ、僕はヴィック」
「(全員で)ハイ! ヴィック!」
「僕は…ヴァンパイアなんだ」
(拍手)
アルコール依存症の治療グループなどでお約束の挨拶シーンです。違うのは病気がアルコール依存ではなく、吸血依存である事。
「レザボア・ヴァンパイア」(2003年/マイケル・ケラー監督)
ヴィック(ポール・ポポウィッチ)はヴァンパイア。素性を隠して彼女と付き合い、とうとうカーセックスにまでこぎつけたのに、スイッチが入って喰っちまった…。
何とか“人並み”な人生を送るために治療協会へ。
綿密な適合検査とアンケートの結果、ヴィックに合った代替血液は“羊”と判明。
吸血鬼というと暗く湿っぽいものになるか、イケメン集めてお洒落に決めるかだと思っていたのですが、これは想定外の飛び道具。
到着早々、牧場の娘に一目惚れ。羊を襲い、成り行きと勢いで人も襲い…。恋と羊と殺人と。
コメディ・タッチで軽く流していますが、羊の死骸と人間の死体と車が埋められている沼地はベイツ・モーテルを遥かに凌ぐ凄惨さ。
やがて、急激な羊の減少に目をつけた女スレイヤーがロック・クリークに。
どれだけ血を吸うと相手が死んで、どこで止めるとヴァンパイアになるのか、の線引きと言った細かいルールがウルトラ適当なのが残念でしたが、中毒治療に妙な親近感を持っているので、結構楽しめました。
原題は「VAMPIRES ANONYMOUS」。これが何で“レザボア”なのかと言うと…
マイケル・マドセンが出ているから。
それだけです。
しかし、数多あるヴァンパイア物の中に「名無しの吸血鬼」なんてタイトルがあっても目立ちません。使えるものは何でも使って「なんて酷い邦題なんだ(苦笑)」でもいいから印象に残るようにしないと。
その意味でショウゲートは良い仕事をしたと思います。