デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

1963年。色々と切ないアメグラの陰画。 ワンダラーズ

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『合図を聴いたか?』

『おう! 腕が鳴るぜ』

『おーい、ジョーイ! 誰をぶっ飛ばしゃいいんだ?』

『ボルティーズだ!』

『ボルティーズだと?! くそったれ!』

 

こちらに向かって走ってくるジョーイの後ろには巨漢・革ジャン・スキンヘッドの大集団(チーム名:ボルティーズ)。考える余地無し。ダッシュで遁走。

 

時代を彩ったロックンロールが次から次。

 

1963年。時代の変わり目も日常は賑々しく、そして淡々と。

 

「ワンダラーズ」1979年/フィリップ・カウフマン監督)

 

冒頭、街の映画館の看板に「フェイドTOブラック」でもトリビア紹介されたWAR IS HELLの文字が。

 

これだけで嫌ぁな予感がひしひしと。

 

ニューヨークのハイスクールは人種の坩堝。民族ごとにグループ、いやチームが形成されています。

 

「ワンダラーズ」はイタリアン・チーム。主人公リッチー(ケン・ウォール)の彼女の父親はイタリアン・マフィア。

 

どこに行っても小競り合い。でもそれはどこかキャット・ファイトに似た予定調和な役割分担のようにも見えます。

 

唯一、ビタ壱文洒落が通じない集団がダッキー・ボーイズ

 

序盤、中盤、後半と3回登場する彼らの不気味さと言ったら…。流石カウフマン監督、彼らの登場シーンだけ「ボディ・スナッチャーになっています。

 

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イタリア人対黒人のフットボール試合にダッキー・ボーイズが乱入して来ると、イタリアとアメリカが共闘、更に超党派の中国カンフーチームが助っ人参戦。

 

普段どんなにいがみあっていても“外敵”が登場すれば一致団結。分かりやすいですね。

 

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このお兄さん、本当に楽しそうに人を刺す。マジ怖いっす。
 

ボルティーズは酔った勢いで宣誓書にサインしてしまい海兵隊に。待っているのは10年経っても終わらない泥沼、ベトナムです。

 

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ダラスではジョン・Fケネディが脳みそぶち撒け、リッチーは結婚する事に。

 

ふと覗き見たバーに流れていたのは、ロックンロールではなく生ギターとハーモニカによるフォーク・ソング

 

去る者、留まる者、ひとつの時代が終わっていく寂寞感。

 

松竹の試写室で観て以来実に36年ぶりの再見。当時はあのフォーク・シンガーが本人かどうかなんて事を話題にしておりましたが、別人でしたね(笑)。

 

カレン・アレンも出ていたんだ。ちょっと冗長なのが玉に瑕ですが、味わい深い一編だと思います。

 

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★ご参考

 

 
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