B級アクションに大風呂敷は必需品。
ある意味「広げてなんぼ」ですらあります。
ありますが…。
「リベンジ・キラー」
(2014年/ブライアン・ボックブレイダー監督)
まずはアマゾンの紹介(煽り?)文を見てみましょう。
屈辱は、恥辱をもって返す。『スピード』のスタッフが車を舞台に再び描いた、ブラッド × リベンジ × カーアクション! 男たちから誘拐され、ズタボロにされた少女。―今、少女は、身体を言葉を武器を駆使して死力をつくしすべての男たちに復讐を果たす!
これだけ読むと「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」に連なる《レイプ犯に100倍返し》ものに見えますが全然違います(実に誠意のない大風呂敷)。
メキシコの麻薬王(ダニー・トレホ!)の娘エマ(マイアラ・ウォルシュ)を誘拐したボンクラ3人組ジャック、マックス、シェーン。
身代金は500万ドル。命知らずにも程がある要求ですが、リーダー、ジャックの目的は金ではありませんでした(ドライバーとして雇われたシェーンは重度のヤク中でこいつだけは金目当て)。
一方、突然の誘拐劇に巻き込まれたエマ。彼女にもこの機会にどうしても父に確認しなければならない事がありました。
全く足並みの揃わない3人組とエマの思惑がすれ違うシチュエーション・サスペンスです。
という訳でエマは暴行されません。身代金要求ビデオ撮る時に殴られているので、暴行されたと言えなくはないですが、観客の期待する暴行ではないですね。
当然そこから「復讐」に走るというベクトルもなく(正当防衛とか窮鼠猫を噛む的なバイオレンスはあります)。
ほぼ全編通してカメラが車から外に出ない(中から外を映す事はある)という縛り付きですが、不思議と閉塞感は覚えません。
「スピード」のスタッフが車を舞台に~とか言っていますが、見渡す限り「スピード」に関わっている人なんかどこにも。
かろうじてアソシエイト・プロデューサーとキャスティング・アソシエイトを兼任したレナ・バンクスが「スピード」に出演していますがノンクレジットな上に役名Pedestrian(歩行者!)ですよ。
せめてスタントとかガンエフェクトとかで被っていて欲しいものです(因みにカーアクションシーンとか1コマもありません)。
では内容が駄目駄目かと言うと、そんなことはなく、「いいんだよ、細けぇことは!」な不都合を勢いだけで押し切る疾走感が低予算の誉れを上塗りしていていい感じでした。
トレホと共に特別ゲストでトニー・キャンディマン・トッドが。
トニーにオファー出したのってトニーのシーン撮影する二日前だったそうです。
そこいら辺のやっつけ感も微笑ましい「これ多分タランティーノの好みだろうなぁ」な一遍でした。
★エマ役のマイアラ・ウォルシュは「サマー・インフェルノ」に出ていましたね。
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★本日4月21日はイギー・ポップ(1947~)の誕生日(おめでとうございます!)
曼荼羅畑的にはテーマ曲を手掛けたこの作品が推し。
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】