デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【よくぞ集めたオールスター】ザ・プリズン・ブレイク 大脱獄【見どころはロシア睡眠実験】

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いやそれにしてもよく集めたものです。ホラー版エクスペンタブルズと呼ばれるだけのことはあります。

メインからモブにチョイ役エキストラに至るまで履歴に誇れる「何か」がある人総登場。

ざっと見渡しただけでも、

ガンナー・ハンセン(初代レザーフェイス。本作が遺作)、
R・A・ミハイロフ(「悪魔のいけにえ3」のレザーフェイス)、
ケイン・ホッダー(「13金」4本のジェイソン)、
ビル・モーズリー悪魔のいけにえ2)、
シド・ヘイグ(デビルズ・リジェクト)、
バーバラ・クランプトン(死霊のしたたり)、
トニー・トッド(キャンディマン)、
ディー・ウォレス(ハウリング)、
マイケル・ベリーマン(サランドラ)、
ヴァーノン・ウェルズ(「コマンドー」のベネット、「マッドマックス2」のウェズ)などなど。

ビデオナレーターにエイドリアン・バーボーという大盤振る舞い。

細かい所では「リンカーンVSゾンビ」のリンカーン役ビル・オバースト・Jr、「発情アニマル」のカミール・キートンなんてのも。

更にほじくれば悪名高き「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド最終版」の追加撮影部分に出ていたデビー・ロションまで(しかも役柄は女レザーフェイスと来たもんだ)。

勿論、出たがりダニー・トレホ、ロイド・カウフマンは標準装備。

どうですか、お客さん。もう役者眺めているだけでお腹一杯でしょ。

ただ、看過できない問題がひとつだけ。

お話が全く理解できません。

「ザ・プリズン・ブレイク 大脱獄」
(2017年/B・ハリソン・スミス監督)

 

アイゼンハワー政権下で1954年に建設された巨大な凶悪犯罪者専用刑務所兼研究施設デスハウス(原題)。

施設は地下9層。下に行くほど凶悪犯罪者が増え、最下層9階には「五大巨悪」と呼ばれる特別警戒犯罪者が。

まあ、映画版「バイオハザード」1作目の地下施設HIVEと似たようなものですね。

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写真右下のブルーのCGが「バイオハザード」のHIVE。


この施設に召還されたFBIの潜入捜査官2名(目的は最後まで分からず)。

2人がデスハウス職員から施設構造のオリテン(尺の半分使うバランス感覚の無さ)を受けている時に施設内の電源がご臨終。

EMPのようなものによるテロと思われますが、動機不明、仕掛け不明、犯人不明。

兎に角、施設内の電気系統が死んで、囚人の拘束レベルがダウン。凶悪犯がわらわらと湧き出て施設内大パニック。

おいおい、UPSも自家発電もないんかい。

『1997年に軍が20億$で建造したステルス爆撃機は雨の中を飛べなかった。この施設は32億$で建設され、維持費は年間500万$。欠陥があっても仕方ないわ』

いや理由になってないだろ、それ。

主人公ら(FBI男女各1+老齢の女性研究者1)はエレベーターに閉じ込められますが、FBI男が天板からワイヤー伝って直近のフロアに進入…するのですが、いつのまにか全員がフロアに。

いや結構苦労して登ってたろ。どうやって女性2名(内ひとりは婆ちゃん)引き上げたんだ。

内乱指揮している囚人が何故か不死身。呪術師かオカルト研究部か、な魔術繰り出して警備も囚人も制圧。

囚人もFBIも五大巨悪が収監されている地下9階を目指しますが、この5人が自称「神」(見た目はゴジラシリーズに登場する宇宙人みたいな感じ)。

こいつらが何者で何で収監されているのか(そして逃げずに留まっているのか)、全て不明。

2時間半くらいあったオリジナルをテレビの2時間枠に合わせて90分足らずに編集したんじゃないかと思えるくらい、編集が雑で説明不足。

全編に渡って意味意図不明で伏線もオチもない謎作品ですが、見どころがひとつだけ。

それは主人公3人が途中逃げ込んだシェルターのような小部屋。

中ではズル剥けクリーチャーと化した人間が泣いて叫んで共喰って…。

あーこれネットロアで有名な「ロシア睡眠実験」だ。

被験者をガス室に閉じ込め、興奮剤を散布して眠りを奪い続けたら、肉体が変容。被験者はガス室から出る事を拒み、自身の内臓を引きずり出し、互いに共喰いしていたという…。

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本来なら「ロシア睡眠実験」に関する説明が必要ですが、婆ちゃん研究者が「説明しないといけないわね」と言っているのにFBI男が「聞きたくない!」と遮ってしまったので何が何だか誰にも分らず(わざとやっているのか?)。

五大巨悪がセノバイトで、実は「ヘルレイザー」の一篇でしたとか言われると何となく納得できない事もなくはないですが…。

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だから何が言いたいんだよ、君たち。


雰囲気的に近しいのはマイケル・マン監督の「ザ・キープ」でしょうか。

あっちも謎まみれな出来でしたが本作に比べれば理路整然としていたような気がします。

★ご参考

 

 

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さて、監獄でオカルトでアクションと言えば、レニー・ハーリン監督の「プリズン」が思い出されますが、この「プリズン」と上で引用した「悪魔のいけにえレザーフェイス逆襲」で主役を演じているのがヴィゴ・モーテンセン

そして本日10月20日ヴィゴ・モーテンセン(1958~)の誕生日(おめでとうございます!)。

本日はバイオレンスなヴィゴ3連発を。