監獄で大暴れと聞くと、主人公は収監中(もしくは潜入中)で、降って湧いたアクシデントに巻き込まれて孤軍奮闘…なシチュを想像してしまいますが、そこはセガール、敵も味方も多数並べて動き最小、効果最大、歩留まり良好な最適解を常に計算。
しかも相棒はスティーヴ・オースティン。
働く、じゃない、負ける気がいたしません。
「沈黙の監獄」
(2012年/キオニ・ワックスマン監督)
舞台は閉鎖の決まった軍の極秘施設。
コンピュータも衛星通信機も電話も処分済。あとは僅かに残っている重犯罪政治犯を移送すれば撤収完了。
仕切っているのは民間軍事コンサルタントのクロス(セガール)とマニング(スティーヴ・オースティン)。
ここに何故か女囚2名が追加宿泊。
どう考えても厄ネタですが、案の定、連邦保安官を名乗るクリス・ブレイク(マイケル・パレ!)が女囚2名だけを移送させろと介入して来て小競り合い。
その隙にゴミ収集車に紛れて侵入したブレイク配下の特殊部隊が作戦開始。
ターゲットは女囚2名(のうちの1名…が持っているとある情報)の確保。
中央管制室を占拠したブレイクは全ての通路とドアを解放。当然、収容中の凶悪犯もこんにちは。
一方、トラブルを見越してか、クロスが用意していたHSO(HIGH SPEED OPERATION-高速作戦-)チームが追撃を開始。
ブレイクの特殊部隊(はぐれCIA)、クロスのHSO、解放重犯罪者(アドベンチャーゲームのクリーチャー的役割)の三つ巴戦スタート。
セガールものにしてはステージ限定の軍団抗争という腰の据わった女囚争奪戦が展開します。
得物はほとんどがお馴染みの銃器ですが、例によってちょっと珍し気なものをひとつふたつピックアップ。
まずは、マイケル・パレが使っているパラ・オーディナンスLDA(Para-Ordnance LDA)。
カナダのパラ・オーディナンス社(現:パラUSA)が、80年代末期から90年代初頭にかけて開発した1911(コルト・ガバメント)のクローン。
ダブルカラムを採用して装弾数を倍の14発にした上に、LDA(ライト・ダブル・アクション)機構によって初弾からタブルアクションで動作するという優れものです。
もう1丁、やはり敵側の特殊部隊長が所持していたFNP90。
ベルギーのFN社が開発したPDW(Self Defense Weapon―個人防御火器―)の1種。
PDWと言うのはざっくり言えば「小銃より携帯性に優れ、短機関銃のように片手でのとっさの取り扱いが可能で、短距離でなくともボディアーマーに対して効力を持つ銃器」。
FNP90は特殊弾使用により、貫通せずに周辺の組織を大きく破壊(内部で弾頭が乱回転して運動エネルギーを対象内に放出)し、跳弾や貫通弾による二次被害を防ぐことができる…そうです。
つまり狭い空間で敵味方入り乱れて撃ち合う際には最適の武器という事。
機関部がグリップとトリガーより後方に位置するブルパップ方式が独特のフォルムを形作っています。
この両陣営が対峙(囚人は真っ先に殲滅)した時のセガールの攻撃合図が『UTE(撃て)』でした。
必ずどこかに日本由来のものぶち込んでくるなセガール。
最後はセガール対マイケル・パレ、夢のシングルマッチ。
一方的にボコられるパレに同情を禁じ得ません。
★スティーヴ・オースティンは今回あまり見せ場がなかったので、活躍シーンの多い作品を並べておきます。
★そしてやはり捨て置くことができません、マイケル・パレ。今回は若き日の目の眩むような作品と、中年になってからの目が眩んで何も見えなくなる作品を並べてご照会。
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★ 本日のTV放送【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】
何と14:37からは「男たちの挽歌Ⅱ」連続放送!豪儀です。