あくまでセガールの映画としては、という低~いハードルでの話という大前提で聞いて欲しいのですが…滅茶苦茶面白いです。
例によって脚本はテキトー、親父は無敵でご都合主義の佃煮ですが、気合の入った戦闘シーンとキャラ立ちの良い脇役、二転三転する展開が何とも心地良い「どうしたセガール、何気合入れてんだ?」な拾い物(くどいようですが、セガールの映画としては、ですよ)。
「沈黙の傭兵」(2006年/ドン・E・ファンルロイ監督)
アフリカ南部のフランス領ガルモラル島に反乱軍として投入されたジョン・シーガー(セガール)率いる傭兵部隊。
発注者はCIAの汚職捜査官ジョン・ドレシャム。元請けが裏社会のプロデューサー、アンソニー・チャペルで下請けがフリーランスの傭兵部隊。
圧政に苦しむ島民を解放するという美辞麗句に乗せられたシーガー。しかし、ドレシャムの狙いは別にありました。
鎮圧のために大量投入されたフランス軍の猛攻の最中、シーガーは盟友をひとり失うことに。
この「いきなりワイルド・ギース」な展開が「掴みにしては金掛けてんでね?」でいい感じ。
先走った傭兵仲間がフランス大使一家(使用人含む)を人質にとってフランス軍を牽制しますが、攻撃をやめないフランス軍にキレて爆殺。
一瞬の映像ですが、無駄に本気度が伝わって来る出来栄えです。
何とか脱出に成功したシーガーですが、死んだ盟友に託された家族(カミさんと息子)を人質にとったチャペルに脅迫されてリターン・トゥ・南アフリカ。
チャペルが新たに請け負った(シーガーが押し付けられた)仕事は、3日の内にケープタウンの刑務所に収監されているギリシャ武器商人の息子を脱獄させる事。
ここからチャペルとチャペルの息のかかった傭兵とチーム・シーガーと出し抜かれてなるものか、と後を追うドレシャムという四つ巴の騙し合いがスタート。
設定や展開の矛盾やテキトーさに観客が気づかぬよう、小さいながらも見せ場見せ場のつるべ打ちで飽きさせません。
個人的見どころは、刑務所急襲部隊が逃走時に使った車。おっとこいつは、
旧ソビエト連邦製の装甲偵察哨戒車、オレンジ色の憎い奴「BRDM-2」じゃありませんか。
何故そんなものがここにあるのかと言うと、ソ連からアンゴラやモザンビークに輸出されたものを国境紛争時に南アフリカ軍が鹵獲したからなんだそうです。
向かって来たパトカーに正面からかち上げかます力持ちですが、装甲厚は14mmと薄く、榴弾の破片や小火器の銃弾を防げる程度(故にロケランで狙われたらひとたまりもないのでした)。
今回のセガールは傭兵なので矜持はあっても正義は持ち合わせておりません。軍人も傭兵も殺し屋も警察官も銀行員も分け隔てなく死体に変えていきます。
平等って素敵。
おまけ
「スティーヴ・オースティン S.W.A.T.」でも使われていた藤波辰爾の必殺技「ドラゴン・スリーパー」をセガールも使っておりました。
勿論、殺し技として。
恐るべし藤波辰爾、恐るべしドラゴン・スリーパー。
★ご参考~本作の監督、ドン・E・ファンルロイが撮影監督を務めたのが、
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