デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【ヒトラーも東條も生きていた!】アフリカン・カンフー・ナチス【ガーナでアドンコ飲みながら】

『アデー、何してんねん? アドンコ飲んどる場合ちゃう。ヒトラー言うのが攻めて来てんねん』

第二次世界大戦はまだ終わっていませんでした。


ヒトラーは潜水艦でガーナへ亡命(拳銃自殺した奴は替え玉だったのでしょう)。

その潜水艦の中には何故か同盟国日本の東條英機が!(東京裁判で吊るされた奴は以下略)。

側近のヘルマン・ゲーリングも一緒ですが何で黒人なんだ!?(白人の役者が足りなかったんだそうです)。


ヒトラーと東條はドイツ・日本・ガーナの3国で新たな枢軸三国同盟を築くためガーナ侵略を開始(イタリアはポンコツなのでハブられました)。

染めの党旗の魔力でガーナ人を洗脳・支配。

忠誠を誓って党旗に触れたガーナ人は顔が白くなり(何か色々マズイよなあ)、ガーナアーリア人に。


最早誰に喧嘩を売っているのか分からない全方位不謹慎の滅茶ぶつけ企画。

『美しいニッポン、天皇陛下万歳!』

「アフリカン・カンフー・ナチス(2019年/セバスチャン・スタイン&ニンジャマン監督)

ヒトラーと東條が手を組んでガーナへ。どこだよそんなバカな映画作った国!?と思ったらドイツと日本とガーナでした(あーはっはっはっはっ)。

どんなスケールの大きい話になるのかと思ったら、地元のカンフー道場荒らされてマスターを殺された門下生が復讐とガーナ解放のために、ガーナアーリア・マーシャルアーツ選手権に出場するという「なんじゃそりゃそりゃ」なトンデモ企画。

酔拳」と「蛇拳」と「笑拳」を足して「燃えドラ」と「怒りの鉄拳」で割った感じと言ったら褒めすぎですが、要するにショウ・ブラザーズ万歳!「考えるな、感じるんだ」な作品です。

アクションシーンはそこそこ魅せていい感じ。

今日はあれこれ気になったシーンをピックアップ。

まずはお酒。本作やたらとアドンコ」なるお酒が出てきます。

役者が飲むシーンは勿論、「いやそこにそれあるの不自然だろ?」な様々な場所にもアドンコのポスターが…。

右上はアドンコの宣伝マン「アドンコマン」。


アドンコはガーナの伝統的な薬酒でアルコール度数は40度ほど。

何種類かあるようなのですが、ヒトラー役を演じたセバスチャン・スタイン監督、東條英機を演じた秋元義人氏の証言によると、最もオーソドックスなアドンAdonko Bittersはコーラのような色をした「甘くないイエーガーマイスターなんだそうです。

なぜそんなにアドンコ推しなのかと言えば、そりゃあもう、この会社がスポンサーだからにほかなりません。

もうひとつ、主人公のアデーが師事する酔拳の師匠アペテシ師範が飲んでいるヤシ焼酎アペテシ

アペテシはヤシの樹液を発酵させたパームワインを蒸留したガーナ特産酒。

工場で生産するものではなく、裏道で現地の人がドラム缶で蒸留しているような手作り酒(危険な匂いがプンプンします)。

右下が現地で撮られた蒸留機器。


これを喰らって必殺の酔拳を放つわけですね。

酒以外に目を引いたのは、道場破りで殺された影蛇拳の師匠のお葬式。

門下生が担いでいるのが車…にしてはちょっと小さいが…何それ棺?(そのまま埋めた!)


車型の棺…確かにありました。カリフォルニア州にある葬儀サービスの関連会社Cruisin Casketsが製作しているのがこちら。


カーマニア向けに作られたみたいですね。

本編は何故かガーナ人の台詞字幕が全部関西弁(吹替も関西弁らしい)。

さて最後に勝つのはカラテかカンフーか。アドンコ片手に楽しみたいところですが、日本では入手困難なんだそうです。残念。

 

ヒトラーは死んでなかった!な作品としてこちらも。

 



 

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★本日3月23日は天本英世(1926~2003)の命日。

岸田森と並んでどこにどう立っていても絵になる存在感の佃煮。

今回はこの2本立てで。


★本日のTV放送【18:00~BS12】