デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【レイ・リオッタの命日に捧ぐ】コカイン・ベア【ついでにコカ・コーラの原料に関する浅~い考察】

コカインの味を覚えたアメリカ熊が、ラリってイキって殺戮絵巻。

なんじゃその頭悪そうな設定!?と思ったら、冒頭に「BASED ON TRUE EVENTS」

実話かよ!?

でもそれって「東スポ」読んでたら閃いちゃってたってのも含むんだろ?

…実話でした。

大枠設定だけですが。事実はこうです。

1985年、ケンタッキー州の悪徳警官で弁護士から麻薬密輸業者に転身したアンドリュー・ソーントンが、密輸のためにジョージア州上空でコカインの小包を投棄した後、80ポンド近いコカインを体に括り付けて逃亡を図りました。

しかし、パラシュートが故障(おそらく余分な重量のため)し、テネシー州ノックスビルの住民の私道に落下して死亡。投げ込まれた40キロの荷物は国有林に着地。ツキノワグマが美味しく頂きました。

ツキノワグマは数分で2000万ドル相当を食べた後、脳出血と呼吸不全と心不全で死亡(オーバードーズ!)。ソーントンとツキノワグマを除いて、他に犠牲者はありませんでした。

…うむ。事実は東スポほど奇ではなかったわけですね。

とは言え、よくある「自称実話」に比べるとはるかに現実寄り。

犠牲者の数が大盛特盛になっただけです。問題ありません。

「コカイン・ベア」(2022年/エリザベス・バンクス監督)

監督は隠し味を隠さずこれでもか!と盛り付けて素材の味を台無しにしたチャーリーズ・エンジェル(2019)撮った人。

お話はアニマル・パニックものと言うよりは「質(タチ)の悪い冗談」系コメディ。


複数の人達(アベック登山者、学校さぼって滝を見に行こうとしているガキんちょカップル、その母親と色ボケレンジャーおばさんと野生動物管理官、そしてコカイン回収に躍起になっている密売人の下っ端コンビと警察)がコカイン・ベアに遭遇するのですが、交通整理が下手なせいでなかなか加速がつきません。

子供は好奇心の塊。コカイン見たらまず試食。


エンジンがかかるのは死体が転がり出してから。

画面には映っていませんが多分キンタマ齧られてます。


二次被害各種。


売人コンビの片割れにアイス・キューブご子息オシェア・ジャクソン・Jrが。

そしてそのボスにレイ・リオッタが。


本作、レイ・リオッタの遺作だそうです。最期ははらわた披露の大熱演。正に遺作。仕事選ばない良い人だなぁ(本日5月26日はレイ・リオッタの命日。合掌)。

現実では過剰摂取でご昇天あそばされたコカイン・ベアですが、果たしてこちらの熊さんの運命は?

以下余談。一部ではよく知られた話ですが、コカ・コーラのコカはコカインに由来しています。

元々は薬剤師ジョン・ペンバートンが開発したワインにコカの成分を溶かしこんだ「薬」。

アルコールとコカインが組み合わさることで、鬱状態を改善し、活力を与える薬として人気商品となりました(メッチャ効きそう!)。1880年頃のお話。

しかし、当時の欧米は禁酒運動の真っただ中。酒は悪魔の飲み物。当然、ワインベースのペンバートン飲料も非難の対象に。

ペンバートン氏が禁酒中でも飲めるコカを使った飲み物を模索し続けた結果、1886年に誕生したのがコカ・コーラでした(当時コカインは合法で医薬品の一般的な成分)。

コカ・コーラの広報担当によれば、当時のコカ・コーラに含まれていたのはコカ植物から抽出されたエキスに含まれるエクゴニン(コカインの前駆物質)であってコカインではない、との事ですが、ちょっと苦しいような…。

因みにコカ・コーラからコカインが除去されたのは1903年アメリカでコカインが禁止となったのは1922年だそうです。

Factcheckはこちら。

www.usatoday.com


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