観れば観るほど納得がいきません。
「かもめ食堂」(2005年/荻上直子監督)
ヘルシンキで売れない日本食堂を開いている小林聡美が主人公。
脇役が二人。片桐はいりともたいまさこ。片桐は明らかに容姿で小林に劣り、もたいは姉というよりは母に近い(つまり二人とも小林の引き立て役的存在)。
で、何故か二人とも帰国日未定。観光だろ? 帰りの切符無しで税関通ったのか? あと、たとえ無給でも働くのはマズイだろ。
後半、唐突に満席になりますが、大した仕込みもせずに小林の調理ペースであの人数の客を捌くのは無理。ってか、今までもあの人数を想定して毎日仕入をしていたのか?
もたいは猫を預かったから帰れなくなったとか言ってますが、あなたホテル住まいでしょ。
プールで小林の「かもめ食堂が満席になりました」って日本語の呟きにプール中の人が反応して拍手喝采する所は完全に現実無視のファンタジー(もたいのトランクのキノコもね)。
どこまでも小林に都合がいい、出鱈目かつ言語道断な世界です。こんな世界が現実に存在するわけがありません。あるとしたらそれは・・・
夢の中だけ。
そう、この映画って前半で小林がうたた寝しているところ(トンミ・ヒルトネンが来る直前)から後ろは全部小林の妄想なんじゃないでしょうか。
孤独を紛らわすために自分に都合のいい仲間を作り、客を呼び…。
「トータル・リコール」や「マルホランド・ドライブ」と全く同じ構造です。
だとすると、今も「かもめ食堂」には客の来るのを待っている小林ひとりだけが・・・。そう思うと実に恐ろしいSFホラー映画です。