「時空を超えて運命に抗う男女」の原点。 ジェニイの肖像
曼荼羅畑に不似合いな直球勝負のラブ・ファンタジーですが、やられました。
「ジェニイの肖像」(1947年/ウィリアム・ディターレ監督)
風景画ばかり描いている売れない画家アダムス(ジョセフ・コットン)の前に現れたひとりの少女ジェニイ(ジェニファー・ジョーンズ)。
子供から大人へと会うたびにメルモの如く成長するジェニイ。
彼女の素描で画家としての才を掴んだアダムスはジェニイの肖像画にとりかかりますが、肖像画完成直後、ジェニイは失踪。僅かな手がかりからアダムスが辿り着いた事実とは。
何故、ジェニイがアダムスの前に現れたのか、という理由が全く語られないのがいい。
理屈も証明もいらない、ただ、自分にとっての事実だけが真実。
クライマックスには、ハリケーンに翻弄される大スペクタクルシーンが用意されていますが、この映画的な見せ場がなかったとしても、作品に対する評価は揺るがなかったでしょう。
モノクロの中に浮かび上がるニューヨークの陰影が美しい。最後にカラーで映し出される「ジェニイの肖像」。
やたら含蓄のある事を言う周囲の人々も“いい感じ”です。
恋愛幻想譚のひとつの頂点だと思います。
※今回は「別冊宝島」の付録DVDで鑑賞。「ジェニイの肖像」のDVDはAMAZONで5,040円。別冊宝島はさらにもう一枚「地球の静止する日」がついて1500円。お買い得!