
アル中でも精神疾患でも依存症でもそうですが、往々にして彼ら(彼女ら)は仲間が自分より先に緩解(回復・更正・イチヌケ)する事を許しません。
なんとかして自分と同じ地獄に引きずり戻そうとします。
これは同類が相憐れんでいるとロクな事にならない、という教訓映画です。
「バッドタイム」(2005年/デヴィッド・エアー監督)
中東で人殺しまくって社会適応不全に陥った退役軍人ジム(クリスチャン・ベイル)が、友人マイク(フレディ・ロドリゲス)らを巻き込んで破綻していく痛すぎ人生見本市。
「タクシードライバー」のトラヴィスも狂っていましたが、彼には“少女をヒモから救い出す”という後付の大義名分がありました。
「ローリング・サンダー」のレーンには、“家族の復讐”という“口実”がありました。
ジムには何もありません。警察官採用試験に落ちた腹いせに売人のヤクを盗み、それを就活中の友人にも吸わせ、友人の就職が決まれば無理矢理メキシコに連れ出し、帰りに20キロのマリファナ持って越境。
災難の散水車です。
ジムとマイクの関係性に関する説明が全くないので、マイクのつきあいの良さがイマひとつ理解できません。
「男たちの挽歌」のホーとマークのような“戦場での恩”みたいなものがあれば、もう少し感情移入できたと思うのですが・・。
「ゴッサムシティも人類の未来も知ったことか」とばかりに暴れまくるクリスチャン・ベイルの切れキャラは(伝え聞く人物像と相まって)なかなかにハマっておりました。
※参考:「ヌンチャク以来の衝撃、ガン=カタ。 リベリオン」→2008年7月9日
「名刺ひとつで大パニック。印刷屋必見。アメリカン・サイコ」
→2009年11月27日
「話のベクトルはそっちで良かったのか? ターミネーター4」
→2010年6月25日