デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

この独創的パクリは最早芸術だ。 マニトウ(輸入版DVD)

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過去に「DVDを 出せ!今すぐ出せ!」シリーズでレビュー済みですが、待てど暮らせど発売される気配がないので、北米版を取り寄せました。

※注…2020年に「HDリマスター特別版【Blu-ray】」発売!

前回見たのは VHS。シネスコを無理矢理スタンダードにトリミングしている(要するに中央部しか映っていない)ので画面の外側が気になって気になって。

ようやっと画面ノーカットのフルサイズ版を観る事ができました。

いやあ、やっぱ傑作だ。

「マニトウ(アンカーベイ版DVD)」
(1978年/ウィリアム・ガードラー監督)


冒頭映し出される レントゲン写真が3枚だった事が判明(ビデオでは1枚半しか映っていない)。腫瘍の中で胎児が成長している様子が良く分かります。

画質には定評のあるアンカーベイ。特に赤の発色が鮮やか。肌色もやや赤みがかっていますが、まあ許容範囲。

で、再見して感じたのはウィリアム・ガードラーパクリのセンスの素晴らしさ。

ただ盗むだけじゃありません、ちゃんとヒネリを加えて換骨奪胎しております。

女性の首に出来た腫瘍の中で成長する胎児は明らかに妊娠のメタファー。

しかし、生まれたのは悪魔ではなく悪霊。生まれ変わる度に強くなる齢300歳のネイティブ・エンティティ、ミスカマカス。

当然、悪魔祓いならぬ悪霊祓いは神父ではなく、ネイティブ呪術師

交霊会の席上ではポルターガイスト現象が。呪術対決では病院内のコンピュータに宿る霊体(マニトウ)を利用(科学に挑戦するオカルティズムは「ヘルハウス」が提示したテーマのひとつ)。

病院内を吹き荒れたブリザードによって瞬間凍結した看護婦の首が千切れてガラス扉を割るシーンは「オーメン」の変形・焼き直しでしょう。

クライマックスの宇宙空間では2001年のスターゲイトを思わせる光の洪水。

いやもう、ここまでやってもらって文句を言う奴はただの人でなしです。

もしガードラーが生きていたら、もう一本くらいは傑作を・・作ってないだろうなぁ。

 ★ストーリーのおさらいはこちらで。

mandarabatake.hatenablog.com