突如、宇宙空間と化した病院の一室。
そこに漂うベッドの上で正座する半裸のお姉ちゃんと400歳のインディアン呪術師が怪光線を飛ばしあう・・・。
小学生の悪夢にも登場しないアホタレなビジュアル。しかも、この特撮やってるのがリチャード・エドランドってんだから世も末です。
正にスーパー・ナチュラルの珍品中の珍品。
「マニトウ」(1978年/ウィリアム・ガードラー監督)
平凡な女性カレン(スーザン・ストラスバーグ)の首の後ろに妙な腫瘍がこんにちは。
あら、何かしら?なんて悩む間もなくコブはぶくぶくと巨大化。そして、その中には胎児と思しき人影が・・。
何とそれは、何度も転生を繰り返しては強力な霊力を得るインディアンの呪術師、ミスカマカスであった!(何回聞いても“ミル・マスカラス”と脳内変換されてしまう!)
宣伝コピーは“齢400歳の赤ん坊が生まれる”・・実際、出てきたのはヌメヌメを塗りたくった小人のインディアン俳優さんでしたが、そこはそっとしておくのが人の道。
前半は医学だ、呪術だ、オカルトだってなサスペンスフルな展開で、一瞬ペキンパーばりのスローとかも披露して中々に魅せます。
スーザン・ストラスバーグも「何故こんな映画にそんな気合入れるんだ!」な大熱演。
相手役にトニー・カーチス(仕事請ける前に脚本読んだのか?)、人類学者役にバージェス・メルディスを配して無駄に豪華。
なんせ相手が呪術師なので、エクソシスト役も神父じゃなくてネイティブ呪術師。彼らが様々な霊を景気良く飛ばしあう攻防は、帝都物語の式神飛ばしのようです。
自然界のものだけでなく、機械にも霊(マニトウ)が宿っている、という発想が斬新。
病院中の機械(コンピュータや医療器具)の霊を総動員するものの、「機械は白人のもの」だからネイティブの呪術師がうまく操れない、ってのは「上手い」ですねえ。
待てど暮らせどDVD化される気配がないので、ビデオテープを購入したのですが、これが映画と一緒で“飛んだ一杯喰わせ物”。
ワイド・スクリーンを大胆かつ無造作にトリミングしているもんだから、肝心な所が見切れる見切れる。
音はモノラル。タイトルと一緒にカタカナででっかく「マニトウ」と表記される親切設計。
誰が版権持っているのか知りませんが、一刻も速く「ワイド・スクリーン」「デジタル・レストア」「5.1ch」「特典満載」仕様でDVD化してください。