『こんな時、サイモン・ペッグならどうする?
いや、彼はイギリス人だ。
じゃ、ケン・フォーリーなら…』
“下品”と言うよりは“お下劣”と言った方がしっくり来るグラインドハウスな4本立て。
「チレラマ」
(2011年/アダム・リフキンその他監督)
多分、CHILLER(恐ろしい小説や映画)+CINERAMA(シネラマ)なのでしょう。
舞台はとあるドライブイン・シアター。その名もカウフマン劇場。
なんて分かりやすい名前なんだ、と思ったらカウフマンのフルネームはセシル・B・カウフマン。なんて罰当たりな名前なんだ(笑)。
今日でここも閉館。最後の夜に相応しい喧騒と狂乱の大馬鹿映画を連続上映だ!
まずは「ワジラ WADGILLA」。
尺取虫のようなヘロヘロの精子しか作れないボンクラ男が“逞しい精子を作る”新薬を服用…したら興奮する度に股間に激痛。病院で精子出したら顕微鏡要らずなオタマジャクシが大暴れ!
しまった、このクスリは精子を強くするだけじゃなく、巨大化させてしまうのか!
な、なんですとお?! 先生、僕はどうすれば?
『興奮したらロケットのようにシゴけ。死にたくなかったらな』
彼の体から放たれた精子(1回に1匹)はすくすくと育ってホームレスを喰い散らかして更に巨大化。家サイズからビルサイズに。
精子怪獣ワジラの行き先は…自由の女神! ワジラの眼には裸で尻振って踊っている女神の姿が!
軍用ヘリが自由の女神に巨大なコンドームを被せようとしますが、トーチに引っかかって…ってあらすじ書いていてこんな虚しい気分になるの初めてだな。
果たして自由の女神の貞操は守られるのか!?
まあ全体を通してぬめっと爽やかな馬鹿話が続くのですが、3本目だけは変化球でした。
「アンネ・フランケンシュタインの日記」(アダム・グリーン監督)
ナチの手を逃れて隠遁しているアンネとその家族。ここでお父さんが衝撃の告白。
今、我々はフランク姓を名乗っているが、本当はフランケンシュタインなんだ! おじいちゃんは人造人間の研究をしていた。それがこのノートに記されている。こんなものがヒトラーの手に渡ったら…。
その瞬間、壁を爆破してダース・ベ…じゃなかったアドルフ・ヒトラー登場!
そのノートをよこせ! 家族全員を瞬殺したヒトラーは意気揚々。部下に未使用の日記を渡して、
『この女が書きそうな暗い日記でも書いておけ。後で出版して大儲けしてやる』
果たしてヒトラーの人造人間大作戦は成功するのか!?
このエピの素晴らしい所は、映画の垣根を意図的に飛び越えるメタ構造。
振り回す人間が人形と言うのはよくある話ですが、わざと人形のヅラを飛ばしたり、白人のスタントマンに黒人を使ってそれをバラしたり、追っ手がセットを回り込んで隣の部屋に入ったり。
盛り上がるドライブイン・シアターにも異変が。
蛍光ブルーな体液撒き散らすゾンビが大量発生。通常ゾンビはかじって千切って喰って、でお仕舞いですが、こいつらは噛んで千切ってまぐわって。
もう生も死も男女の垣根も越えた乱交パーティ。セシル・Bも全身武装でご乱入。
『俺の坊やに挨拶しな!』
グダグダな内に幕を閉じるのでした(笑)。ゴアシーンもさる事ながら、とにかく体液が多いので、そっち系が生理的に駄目な人はちょっとツライかもしれません。