デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

我が人生に一片の悔い無し。 ミッドナイト・ガイズ

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『いつ(俺を殺れと)言われたんだ?』

『お前が刑務所に入った日だ』

『28年間もお前を苦しめたのか…。
 俺はただの一言だって口を割らなかったのに』


28年の刑期を終えて仮出所したヴァル(アル・パチーノ)。

出迎えたのは無二の親友ドク(クリストファー・ウォーケン)。

かつては暗黒街で鳴らした二人でしたが、寄る年波には勝てず。ドクは引退し、規則正しい生活を心がける老人に。

再会を喜ぶ二人。しかし、ドクは組織のボスからあるひとつの指令を受けていました。

“明朝10時までにヴァルを始末しろ”

 

「ミッドナイト・ガイズ」

(2012年/フィッシャー・スティーブンス監督)


ドクのちんまりした自宅を見てげんなりするヴァル。これなら務所の方がマシだ。

『ケーブル・テレビもあるぞ』

『有料チャンネルくらい刑務所でも見れる』

ドクが“ケーブル・テレビ”を連呼(自慢)するのが妙に可笑しい。

とにかくパーティだ! かつて行きつけだった娼館は経営者が娘に代替わり。勢い込んだヴァルでしたが残念ながら勃たず。

ドクが薬局のドアをピッキングしてクスリ拝借(ついでに胃潰瘍の薬とかも色々)。

『足を洗ったんじゃないのか?』

『洗ったさ。でも便利な道具は手放せん』

一錠でいい薬を鷲掴みで煽ってリマッチ。見事凱旋。しかしクスリが効きすぎて下半身がパンツァー・フォー!

救急に担ぎ込まれたら、そこにはかつての仲間の娘ニーナ(ジュリアナ・マルグリース←ERのキャロルです)が。

父ハーシュ(アラン・アーキン)は養護院でお迎え待ち。友を呼吸器に繋がれた状態でなんか死なせはせんぞ! 二人は絶対盗んではいけない車をガメて養護院へ。

『なんてこった! ヴァルとドクが並んで立っている! 頼む、俺をここから連れ出してくれ!』

かつてザ・ドライバーだったハーシュは盗難車で深夜の大暴走。

28年の空白を飛び越えるワンナイト・スタンド。しかし、タィムリミットは刻一刻。

パチーノ、ウォーケン、アーキンの3ショットが豪華。年輪を重ねるとこういう作品も作る事が出来るんですねえ。

本当に失った28年という時間が見えるような気がしました。