
『刑務所暮らしが長かったから、感情を失くしてしまった。全く憐みを感じない』
ニューヨークのブラック・マフィアを統べるひとりの白人。
彼が刑期を終えて出所した時、血の抗争の幕が開く…という設定自体は特に目新しくはありません。
あくまで結果論ですが、後にビッグネームになる役者さんの血気盛んな若き日を観る事ができるという特典が本作の評価を頭ひとつ押し上げています。
「キング・オブ・ニューヨーク」
サウス・ブロンクスにシマを張るブラック・マフィアのボス、フランク・ホワイト(クリストファー・ウォーケン)が刑期を終えて帰還(出所シーンで始まる映画にハズレ無し。例:「ゲッタウェイ」「ブルース・ブラザース」)。
鉄砲玉担当のジミー(ラリー・フィッシュバーン)は待ってましたとばかりにプエルトリカンの売人グループを皆殺し(横にいるのはスティーヴ・ブシェミだ!)。

更に対抗組織を次々血祭に上げて勢力を拡大。
一方、NY警察の若手刑事コンビ(デヴィッド・カルーソー&ウェズリー・スナイプス)は逮捕を諦めホワイト抹殺に動き出す。
フェラーラ監督にしては珍しくカーアクションあり。娯楽映画としての体裁を整えています。
市の財政難により閉鎖を余儀なくされた救急病院を救うために多額の寄付をするところなんかは、「ゴッドファーザー」のアル・パチーノと被りますが、手触りは「ソナチネ」「アウトレイジ」の方が近いかもしれません。
弁護士のお姉ちゃん、どこかで見た顔だと思ったら「SF/ソードキル」のヒロイン演ってた人ですね。

演出よりも役者の存在感に由る所が大きいですが、理由はなんであれ魅力的な事に変わりはありません。
時に2006年当時、アベル・フェラーラの次回作が本作の前日譚だという噂が流れたのですが、頓挫してしまったのでしょうか。
タイトルは「The Last Crew」で、3月からニューヨークで撮影の予定、というアナウンスだったのですが…。
★ご参考