デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

お支払いはクワガタで。 昆虫探偵ヨシダヨシミ

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カブトムシの交尾(正確には浮気現場)にアテレコ(「ええんか? ここがええんか?」)している冒頭で、

“あ、これは馬鹿映画だ。マジメに観てはいけない”

という事を一片の誤解無く瞬時に分からせてくれる親切設計。

この浮気現場をカブトムシのメス(交尾しているオスカブトの奥さん)と見つめている男。

『ご覧の通りご主人は先程のメスカブトを始め、この1週間で6匹ものメスと交尾されてました。ご必要であれば他の浮気現場にもご案内いたしますが…』

『結構です! もうたくさんです!』

駄目押しの馬鹿展開。しかし、次のシーンでカメラがパンアップすると、そこには朽ち果てた東京都庁が…。


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“き、近未来SFなのか?!”

昆虫探偵ヨシダヨシミ
2010年/佐藤佐吉監督)


ヨシダヨシミ(哀川翔)は昆虫(だけじゃなくて動物全般)と意思を通わせる事ができる特殊能力保持者。

謎の大爆発で廃墟と化した(撮影の都合上ほぼ完璧に復興している)新宿で昆虫相手に探偵業を営んでおります。

報酬は希少価値クワガタの生息場所情報。捕まえたクワガタは昆虫ショップに卸して現金に(夏場以外はどうしているんだ?)。


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依頼の大半は浮気調査か家出人(虫)捜索。

昆虫の生態に関する解説はやたら詳しいのですが、演出としての描写はウルトラいい加減

メスの蝉が鳴いていたり、おっさん声(つまりオス)のコガネグモが巣を張っていたり(カブトムシって桜の樹で交尾したりするのか?)。

察するに原作に準拠した部分は正しい説明がされているが、昆虫に関する正しい知識を持ち合わせていない佐藤佐吉が演出した部分は(撮影の都合もあって)滅茶苦茶になってしまったのではないかと。

所謂“昆虫博士”が観たら、かなりムッとするのではないかと思います。

※因みに哀川翔は趣味のひとつに「昆虫採集(特にカブトムシに関する造詣が深く、2015年までに2万5000匹を羽化させた実績を持つカブトムシ愛好家)」があるガチの昆虫博士。昆虫の演出を巡って監督と揉めたりしなかったのでしょうか。

後半は予知能力を持ったタマムシによって人間の脳を支配して操る悪クワガタの存在を知らされたヨシミが、悪クワガタに支配された(近い将来、人類に災厄をもたらす)次期総裁候補と目される若手議員を暗殺しようと…

…うーん、まさかとは思いますが、これって「ヒドゥン」「デッド・ゾーン」「フェノミナ」オマージュ?


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