
「皆さん、初めまして。市ノ宮カンパニーの御曹司で、かつ次期社長の市ノ宮行です」
「リクルート、お前自身の話を聞かせて欲しいんだ。何を持っているかは問題じゃない」
以前から、“人が自慢して良いのは自分自身の行いだけ”だと思っていたので、ニノのこの台詞には大きく頷いてしまいました。
地位も名誉も財産も学歴も親も子供も親戚も友人も単なる属性。“(自分にとって)その人が面白いか”という事とは何の関係もありません。
「荒川アンダーザブリッジ[UK版DVD-BOX]」(2010年4月-6月/新房昭之監督)
大財閥“市ノ宮グループ”の御曹司。大学生の身分で多数の会社を設立・経営している若きエリート、生まれながらの勝ち組、市ノ宮 行(いちのみや こう)。
市ノ宮家当主が代々守らねばならない鉄の掟-『他人に借りを作るべからず』-。
幼少の頃より頑ななまでにこの掟を守り続けてきた行でしたが、荒川で溺死しかけた所を居合わせた少女に助けられるという重すぎる借りを作る事に。
マズイ。命の恩人という借りはデカ過ぎる。何とか早く借りを返さないとストレスで喘息の発作が…。
見ればこの少女は河川敷に住んでいるようだ。ならば、
「家を、家をプレゼントさせて頂けないでしようか!」
「いらない。この星では欲しいものがあると人を助けるのか?
あ、願いひとつないこともないぞ。
私に…恋をさせてくれないか」
という訳で、この少女(名前はニノ)の恋人として河川敷で暮らすことになった行。村長に“リクルート(愛称リク)”という新しい名前を貰い、不思議世界に仲間入り。

変わった、という表現を余裕でオーバーランした住人が闊歩する河川敷。
星に鳥にサムライに鉄仮面兄弟に傭兵シスター。しかし、何といっても筆頭は村長。河童です。

チャック丸見えの着ぐるみ野郎。正体は誰も知りませんが、国土交通省に顔が効き、気配を殺して相手に近づく事が出来る謎の男。
キャラ立ち一番は河川敷で牧場を営んでいるマリア。ドドドドS。言葉責めで相手が凹んでいる様を見る時に至福絶頂の表情を。

もうひとり、河川敷の住人ではないですが、行の会社の秘書・高井照正。行を溺愛し、「行さまあ!」と涙&鼻水&涎混じりに絶叫する変態おじさんです(何故か河川敷では人気者)。
自称金星人のニノと地球人のリク。二人の異文化交流が縦軸。河川敷再開発に絡む行と父・積の対立と関係修復が横軸。お話はあくまで破天荒。

1期は13BRIDGE108話。まったりしながらも細かく刻むスピード感。
UK版DVD-BOXは1期2期をカップリングする大盤振る舞いで6,000円強。
本作を見たらどうしても未ソフト化の三池作品が観たくなりました。私的三池ベスト5に入るその1本は明日。