美術だけは素晴らしかったですが…。
新鮮な材料と立派な調理器具を揃えたのにレシピが腐っていた、そんな感じ。
舞台で四谷怪談を演じることになった男女が、実生活でも似たような関係になって虚構と現実が…というのが基本骨子。
四谷怪談と言うよりはエコエコアザラク発マルホランド・ドライブ行き、な不思議映画。
仕方がないので、舞台の稽古場面を延々(全体の8割近くが稽古場)。この時の舞台装飾にとんでもなく力が入っているので、その美しさに見とれてしまうのですが、映画としては本末転倒。あたしゃ別に舞台のメイキングを観たいわけじゃない。
そもそも、稽古場に何故回り舞台がある? ここはコマ劇場か。セットも完璧に作りこんでますが、稽古段階でそこまでやるか?
あと演出家は演出しろ。駄目出しとか演技指導とかあるだろ。黙って見てるだけって何よ。
役者の付き人が代役演るってのもおかしくないか(台詞全部頭に入っているし)。
くどいようですが、セットは立派。
現実シーンに目をむけても不思議満杯。
おおお、お前は浦見魔太郎か黒井ミサか。
ただ柴咲に泣く・笑う・叫ぶなどの感情表現をさせなかったのは正解(だって出来ないから)。
こういうシーンは三池っぽい。
海老蔵は恐ろしいほどにやる気の無い、面倒くさそうな演技を延々続けるのですが、地なのでしょうか。それとも考え抜いた挙句の役作りなのでしょうか。
思わせぶりなオチも完全に破綻しています。よくこんな辻褄もキャラ設定も放棄したテキトーな話を書いたものだと感心しましたが、クレジット見て納得。
原作・脚本:山岸きくみ。
流石の三池も山岸脚本は料理できなかったか。ご愁傷様でございます。