デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

脚本家の地位を貶める脚本家。 喰女-クイメ-

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美術だけは素晴らしかったですが…。
 
新鮮な材料と立派な調理器具を揃えたのにレシピが腐っていた、そんな感じ。
 
「喰女-クイメ-」2013年/三池崇史監督)
 
舞台で四谷怪談を演じることになった男女が、実生活でも似たような関係になって虚構と現実が…というのが基本骨子。
 
四谷怪談と言うよりはエコエコアザラクマルホランド・ドライブ行き、な不思議映画。
 
とにかく中身がない。話の展開だけなら「世にも奇妙な物語20分枠に余裕で入ります。
 
仕方がないので、舞台の稽古場面を延々(全体の8割近くが稽古場)。この時の舞台装飾にとんでもなく力が入っているので、その美しさに見とれてしまうのですが、映画としては本末転倒。あたしゃ別に舞台のメイキングを観たいわけじゃない。


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そもそも、稽古場に何故回り舞台がある? ここはコマ劇場か。セットも完璧に作りこんでますが、稽古段階でそこまでやるか?
 
あと演出家は演出しろ。駄目出しとか演技指導とかあるだろ。黙って見てるだけって何よ。
 
役者の付き人が代役演るってのもおかしくないか(台詞全部頭に入っているし)。


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くどいようですが、セットは立派。
 
現実シーンに目をむけても不思議満杯。
 
伊右衛門役の市川海老蔵(←岩役の柴咲コウと付き合っている)が、梅役の中西美帆と寝ている時に、柴咲が気合一閃鏡に頭突き喰らわしたら、中西の額が割れて出血
 
おおお、お前は浦見魔太郎か黒井ミサか。
 
ただ柴咲に泣く・笑う・叫ぶなどの感情表現をさせなかったのは正解(だって出来ないから)。


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こういうシーンは三池っぽい。
 
海老蔵は恐ろしいほどにやる気の無い、面倒くさそうな演技を延々続けるのですが、地なのでしょうか。それとも考え抜いた挙句の役作りなのでしょうか。
 
思わせぶりなオチも完全に破綻しています。よくこんな辻褄もキャラ設定も放棄したテキトーな話を書いたものだと感心しましたが、クレジット見て納得。
 
原作・脚本:山岸きくみ。
 
なんだ、そうか、なら当然だ。「座頭市 THE LASTという牛引きと鋸引きを合わせてもまるで足りない脚本書いた人ですから、こんなの朝飯前でしょう。
 
流石の三池も山岸脚本は料理できなかったか。ご愁傷様でございます。
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