デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

なぜ清水健太郎のクレジットがない?! 制覇

イメージ 1

『あの人の…言葉を伝えます』

構成員1万5千人を誇る日本最大のやくざ組織、谷口組の三代目が逝った。その時、妻は…。

「制覇」1982年/中島貞夫監督)


本来、三部作になるはずだった高倉健の「山口組三代目」に完結編があるとしたら、こんな形になったのでは?と思わせる内容です(組長の回想する幼年期の描写が高倉健の幼年期描写と丸被り。綺麗に繋がっています)。

にしても、田岡一雄が心臓病で死んだのが827月、本作が公開されたのが同年10月。

企画が立ち上がったのがどの時点なのかは分かりませんが、ほぼリアルタイムなスピード仕事。

しかもオールスター。なんか「エンテベの勝利」を思い出してしまいますが、やっつけ仕事になっていないのは流石。並み居る大御所たちを見事に捌いています。


イメージ 2
ドライな三船に対し、情念で押す岡田。見事な“三代目・姐”。

谷口組(山口組)組長・田所政雄(田岡一雄)に三船敏郎、その妻に岡田茉莉子、若頭・河上剛二(山本健一)に菅原文太、権野強志(菅谷組組長、ボンノこと菅谷政雄)に若山富三郎

他に丹波哲郎鶴田浩二、梅宮辰夫、岸田森(遺作!)、名高達郎秋吉久美子、中井貴恵などなど、どのシーンを見ても「この人誰?」というカットが存在しない豪華キャスト。


イメージ 3
岸田森は看護婦付き添いで最期の演技。

皆いい味を出していましたが、一際光っていたのが海渡仙一(モデルは最後の博徒・波谷守之)を演じた小林旭

『よかったじゃねぇか。戦争が終わってホッとしてるんだろ? お前だけじゃねぇよ。俺もさ』

出番は多くありませんでしたが、一瞬で場をさらう存在感。この人の若い時は滴るような色気がありました。


イメージ 4

そしてもうひとり、組長の部屋住み運転手を務めた清水健太郎

結構、重要な役回りのはずなのに何故かノンクレジット。

76年に「失恋レストラン」、77年には同曲でレコード大賞獲得、紅白歌合戦出場、寺山修司監督の映画「ボクサー」に出演(文太と共に主役)とそれなりにビッグネームだったはず。

大麻使用による第1回逮捕は83年なので、まだ綺麗な経歴だったはずなのですが…。

配役でひとつ文句があるとすれば、組長の息子を演じた桂小つぶ。こういう馬鹿にしか見えないタイプは生理的に駄目。彼が出てくる度にイラっとしてしまいました。


イメージ 5←ランキング投票です。よろしければワンポチを。