デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【ド演歌】実録・北海道やくざ戦争 北海の挽歌【浪花節】

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1985年から翌86年にかけて北海道北見市で展開された稲川会と一和会の抗争、所謂「北見抗争」をドラマ化したものなのですが、とにかく登場人物の肩書が長い!

主役である遠藤憲一の登場時の肩書・名前が旭川関根会初代分家斉藤組幹部星川組組長・星川竜二(か、漢字が頭に入ってこねえ…)

因みに旭川関根会とは、旧寄居関保連合(現旭導会。1989年より山口組の二次団体)のことで、星川竜二のモデルは星川濠希です。

この星川が親分(ジョニー大倉)のあんまりな仕打ち(親分懲役中にシャブに手を出した姐さんと結託した同僚の策謀で代行職を解任される。しかも星川が段取りした出所祝いの席上で)に愛想を尽かせて組を出る(親を捨てる)覚悟を決めるのが物語の始まり。

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身を寄せたのは錦城会錦城一家岸森組組長・岸森哲也(清水健太郎)。

モデルは稲川会稲川一家岸本組組長・岸本卓也。

せめて実名になっていればもちっと理解が捗るのですが、長いわ仮名だわで慣れていない人は混乱の極みかと思いますが、まあ、ざっくりまとめると遠藤憲一清水健太郎が己の信じる「男道」を突き進む任侠映画って事になりますか。

「実録・北海道やくざ戦争 北海の挽歌」
(2003年/石原興監督)

 

事の発端は岸森組配下となった星川組が事務所を構えた北見で、三代目山王会鴨井組舎弟花戸組組長・花戸章(モデルは三代目山口組加茂田組舎弟頭補佐花田組組長・花田章。抗争の前年に一和会に移籍)とのささいな悶着(だから漢字が頭に入ってこないって)。

星川の若い衆が「うちの親分に恥かかせやがって」と沸点20度くらいでキレてスーパーで奥さんと買い物中の花戸を弾くフライング。

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ここで組織関係を整理しますと、

  1. 星川(遠藤憲一)の親分・岸森(清水健太郎)が所属する錦城会即ち稲川会は1972年、三代目山口組若頭・山本健一と五分の兄弟盃を交わし山口組(劇中では山王会)と親戚関係になっています。
  2. 対する花戸組(花田組)の現所属は一和会(劇中では丸和会)。
  3. そして山口組と一和会は骨肉相食む大戦争「山一抗争」の真っただ中。


警察にも緊張走りまくる代理戦争の様相を呈しているわけです。

★山一抗争に関してはここいらへん参照。

※役者が景気よく被っているので続けて観ると更に混乱必至(笑)

清水健太郎その他の奔走で一旦は手打ちになりますが…。

一和会が返しも無しに手打ちを飲んだ背景には、この機会に一和会を正式な組織として認知させるという政治的駆け引きがあった訳ですが、親分殺られた花戸組は知った事かとばかりに星川蜂の巣。

果たして決着は…。

「実録」と銘打っていますが、深作的索漠演出とは対極な演歌・浪曲浪花節

明らかに山下耕作を範とする高倉健的なドラマ作り。

締めはド演歌「北侠の群れ」(作詞は何と岸森卓也本人!OPには全詩がナレーション付きで)が!

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本作では、ジョニー大倉橋本真也、力也、志賀勝本郷功次郎川地民夫など鬼籍に入られた方々の元気な姿を拝むことができます(合掌)。

余計な事ですが、本作製作の翌年、清水健太郎覚せい剤取締法違反で4度目の逮捕をされています。

 

 

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★ご参考:どういうわけかWikipediaの出典に引用されてしまったために、微妙にアクセスの多い記事になってしまった実録モノ。 


★本日5月6日はジョージ・クルーニー(1961~)の誕生日(おめでとうございます!)。

ルーニーと言えば「リターン・オブ・ザ・キラー・トマト」「グリズリー2」そして「フロム・ダスク・ティル・ドーン」ですが、今回は真っ当な出来の大作と見渡す限り地雷原な超大作を1本ずつ